liu xing(中国)




星の冴える夜でした。毎夜のように窓際に座ってもらい、毎夜のように私は彼の髪を梳きます。

「もう……いやある…こんなの…」彼は羽虫の羽ばたきのように囁きます。彼の髪に櫛を通しながら、私は何も言わずに彼の震えた声を聞いています。
彼がこのところ愚痴っぽいのは仕方がないことでした。彼は本当の弟のように可愛がっていた菊に、剥き出しの鋭利な切っ先を向けられたばかりでしたから。

体温を感じ取れるほど側にいても、底無しに沈んだ彼は私にも感じ取れません。
ですから、私には彼に吐きたいだけ愚痴を吐かせてやることしかできません。励ましの気持ちを彼の髪に織り込みながら、彼が一通り憂いを下して落ち着くまで静かに待っているのです。


「ハンナ、見たあるか、今の?」と彼は問いました。私はずっと彼の闇のように暗い髪を見つめていましたから、いいえ、と答えます。彼がようやく落ち着いた声をしていたことが嬉しくて、私も声がより高くなっています。

「お前もったいねーことしたあるな。」覗き込んだ彼の横顔はいたずらを企む子供のように笑んでいて、それはそれは嬉しそうでした。彼の丸みが残る頬をたまらなく愛しく思いながら、私はまだ髪を梳いています。



願いを言ってごらん
さっき君の望みが叶いますようにって、祈っておいたんだ



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