「忍足先輩これ、食べてください!」
(おうおう、モテんなあ忍足も)
(そう?)
(あれ多分手作りだぜ…)
(別に、普通の光景でしょう)
(は?何言ってんだ)
(私も一杯お菓子とか貰うけど)
(あー…お前もモテんだな)
「すまん、それは受け取れへん」
(あれ、断った)
(泣かれると面倒だぞ忍足…)
(私?私はちゃんと貰ってるよ)
(おまえじゃねーよ!)
「こういうもんは、ワイフからしか貰わんことにしとるんや」
「誰がワイフやねん肩抱くなしばくど」
「っ…………」
(おい、やばいんじゃないか…)
(せやかて侑士が阿呆なんやもん)
「もしかしてあなたは…」
(え?)
(は?)
「立海のエアさんですか?!」
「そ、そうですけど」
「あたし、あなたのファンなんです。毎年海原祭でやられてる演劇も見てます!」
「ありがとうございます」
「今年も勿論劇、やられるんですよね?!」
「あ、いや今年は遠慮しようと…」
「そんな!もったいないです!」
「えーとまだ時間があるので考えておきます…」
(侑士助けてえな〜)
(はっマイワイフが助けを求めとる)
(誰がマイワイフやねんて!!)
「あ、エア。跡部来たぜ」
(ありがとう宍戸さん!)
「ごめんなさい、私跡部さんと話すことがあるのでこれで」
「あのっ、じゃあ最後に…お願いできませんか?」
「え」
(何だかわかんねえけどやってやれよエア。)
(せやでエア、ファンには優しくせな)
(さっき差し入れ拒否した奴の言うセリフかよ)
「何でしょう?」
「一昨年の劇の、王子と姫が語らうシーンの再現を…」
「あれですか…」
(何の騒ぎだ、アーン?)
(おう跡部)
(今からマイワイフが寸劇見してくれるっちゅう話や)
「『嗚呼、愛しの王子様…どうかこの私を、ここから連れ出して下さいまし』」
「『何を言っているんだい、君はもうとっくにこの籠から飛び出しているじゃないか』」
(あんな声も出んのか!あの見た目で?)
(すごいやろ、マイワイフ)
(お前らうるせえんだよ)
「『君はずっと前から僕の心の中に住んでいるよ、姫…』」
「キャー!」「キャーッ!!」
(気持ちわりい)
(忍足の裏声がひでえ)
(恥ずい…)
「ありがとうございます!!今のばっちり録りました!」
「え」
「これ宝物にしますね。今日のことは忘れませんさようなら!」
「なんや今の、今日の放課後にもヨウツベにうpされてそうやな」
「……跡部さん合同合宿の件ですが」
「場所は氷帝が手配しておく」
「そうではなくて、私以外にマネージャーを用意してほしいんです」
「アーン、他のマネージャーだと?」
「はい。立海に加え氷帝までなんか、1人ではとても世話し切れません」
「大丈夫だろ」
「いやいやいや、あなた私を何だと思ってるんですか」
「逆に訊くが、立海の奴らや俺たちがお前以外の奴に世話になるのを認めるとでも?」
「……宍戸さぁん」
「すまん、その点については何も言えねえ」
「俺はエアじゃなきゃいややで」
(過 労 死 す る)
お姫さん、疲れる。
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