君だけに




今日の練習も終わり、着替えるのにさっさと部室に入る。帰りにどこか寄ろうと思い、隣を見た。侑士はまだ外にいるようだ。というわけで待ちながら着替えていたが、終わっても侑士は来なかった。なかなか来ないのでどうしたのか気になり、探してみた。

案外すぐに見つかった侑士は、やはりユニフォームのままだった。なぜかいとこで立海生のエアがいて、楽しそうに喋っていた。


「なあエア、エアは俺のどこが好き?」

「侑士の好きなところ?」


(……あ、答えるんだ)
エア相手になると、侑士はふざけているのだろうがかなり積極的な物言いをする。エアは気安い相手だからか、シカトしたり「あほか」とすっぱり切ったりして素っ気ないのだが。


「ショートケーキの苺くれるとこ」


それでも侑士が呼ぶと他校でも来るし、氷帝に来たら真っ先に侑士のところに来るし、誕生日プレゼントもあげているようだし、本当は仲は良いはずだ。


「何でそんな食い意地張った答え方やねん」

「やさしいとこ、を具体的に言うたったんやろ」

「エア……ちゃんと俺のこと好いててくれとるんや……」

「何ジーンときてんねん。具合悪いのとちゃう?」


ただ、二人とも表情に変化がなく分かりづらい。……が、会話が弾んでいるので、安心して見ていられた。


「………」

「向日さん、何してはるの?」

「あ、忍足先生」

「あたしの娘と侑ちゃん、そんなに似合うとる?」

「はい?」












君だけに、こっそり答えてあげる


「エアも侑ちゃんも、昔はもっと大人しかったんやけどなぁ。いつの間にあんな激しなったんやろ」

「―――おばちゃん、侑ちゃんは止めてえな。恥ずかしうて叶わんし、岳人が笑い死ぬ」

「侑ちゃ………ぶはっ!」

「向日くん大丈夫?」



あきゅろす。
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