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■HxH■
内向的愛情


あぁ まったく俺はなんて幸せなんだろう。

柄にもなくそんなことを実感していた。
夜のしんみりとした静けさ。ベッドの上。


ずっとこのままでいたい。

閉じていた目をそぅと開けてみる。
ゴンが自分の腕を枕にして眠っている。
きゅぅと脇の辺りのシャツを握り締めて すり添ってくるように その黒の瞳を閉じている。

はんなりと微笑んでしまう。
自分の隣で誰かが眠っている。ただそれだけのことなのに どうしてこんなにも心が締め付けられるのだろう。しかもその締め付けられる感覚が心地よすぎてたまらない。


「……可愛いね― ホント」

たまらなくなって 空いている方の手でその頬に触れた。
もう何度となく こんな愛情表現をしてきた。相手には見えないけれど。それでもいいのだ。


起きている君には充分振り回されているから。
眠っている君には十分な愛を注いであげたい。
こんな自分を振り回してはしゃぐ君に
この小さな愛情表現で
少しでも癒されてほしい。


誰かにこんな気持ちを抱くことが これ程にまで幸せなのだということを 教えてくれたのは君だから。

(……あれ。こう見えて俺って案外良い奥さんタイプなのか…?)

それは勘弁な。ゴン。俺は旦那がいい。
なんてふざけた事を思う自分に笑って
もう一度目を閉じた。

目の前が闇に覆われても
腕にある重みも じんわりとした体温も たまに肌にかかる寝息も 消えたりはしない。

おやすみ ゴン。

心地良い眠気に吸い込まれながら そうつぶやいた。
あーなんかもう俺 今 かなり幸せ。


――――……
■このおバカめ。笑


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