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Novel
モノクロ…★


灰色の世界に色をくれたのは

君だった。








はずなのに…




【モノクロ】







夕日で真っ赤になった病室

真っ暗な世界…


まさかこんな病に臥せるだなんて予想もしていなかった


そして輝いていた有り触れた日常も
かき消されてしまったみたいで
窓から見る狭い世界はもうモノクロ。


「でも今は違うんだ」


俺だけに与えられた牢獄で呟いた
そこにはうちの参謀が久し振りに"たまたま来てしまって゛いて


「分かってくれるかい?なァ柳…」


こんなどうしようもない感情を
分かってくれるか?


もう誰も来てはくれなくなってしまった此処は俺には何の意味もなく、何の価値もなく




独りでただ待つだけなんて耐えられなかったんだ

何で俺を置いて行ってしまうの?なんてくだらない事を…

何度も何度も何度も考えて




何日間も着込んだ寝間着は赤く染まっていた。


何日間も"俺が"使っていたベッドは"キミ"に明け渡してしまった




いくら参謀だからといって今の状況を把握仕切れて居ないみたいだった


鞄も背負ったまま、珍しく綺麗な瞳を見せていた


視点は俺じゃなくて彼だったけど




「ゆ…幸村…なんだ……………コレは…?」


初めて蓮二の声が震えているのを聴いたな(笑)


「分からないの?酷いなぁ…毎日一緒に居たんだろう?真田じゃないかっ」



俺は居られなかったのに。憎らしいね



「…そんなことは分かっている…!!何故こんなに…なっているのかと訊いているっ…」



何ムキになってるのさっ




ただ俺が真っ赤になってて真田が動かなくて…

眼を片方貰っただけじゃないか


「大した事じゃないさ」



ただ残念なのは眼球の筋肉が上手く引き千切れなかった事かな


握力とかもうないんだもん。



俺はソレを手の中で遊ばせた



「………っ…」



「柳にはあげないからね。コイツ俺のだから」


衝動的強欲的不満的…

さて、どう解釈したらいいのかな?


エゲツないね俺って。

だから魔王とか言われちゃうのかな?
神の子よりもそっちの方がシックリくるんだけどね



「そろそろ日が沈みきってしまうね。もう帰ってくれるかな?やることがあるんだ」


「……何を…」


「知りたい?」




知った所でどうなるわけでもないだろう


久し振りにヤル気満々なんだから



「目が無いなんて可哀相だろう?でも俺はコレを返す気はないんだ」

「…」

「だからね、俺のをあげるんだ」




神経をリボン結びでもしとけばくっつくんじゃない?


…無理かな?



「…精市…お前……」


「無敗でお前の帰りを待つって言ってたよね?お仕置だよ」



邪魔するなら


「お前も抉るよ?」





世界はモノクロ



俺らは赤く



崩れて逝く音を黙って聞くしかないんだよ



微かな望みなんて


もう 真っ赤なんだ






(本当はこんな醜い俺を見て欲しくなかった。
日々やつれていく俺に引き換え、
その日その日のことを楽しそうに語る、その綺麗な瞳が憎かった

だって今の俺にはもうその瞳を曇らせる事しか出来なかったから。)


壮大な愛は憎しみへ

憎しみが狂気へ



俺の世界は君だった。



俺は今日、君も俺も


殺してしまった。





・red end



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