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Novel
P,S〜赤いボク〜★
こんなに好きだと叫ぶのに

声にならない「声」を潰して生きているのは辛すぎるんだ


当たり前だった日常をいきなり奪われてしまった俺にはもう希望もなくて真っ暗で真っ暗で


叶わない夢は見るべきではないなんて云わないで。

「夢は諦めなけれは叶う」なんてキレイゴトが欲しいわけじゃないよ
ただ、

この世界に色をつけてはくれないか?

出来れば鮮やかな…。






【P.S〜赤いボク〜】





「だってしょうがないじゃないか。」


逢いたいんだ


「だってしょうがない」


君は此処には居ないんだから




白いベッド、白い壁、黒い空、黒い天井


この世界には白と黒しかないのかな?なんてポツリ、ため息よりも微かな音で。



毎日繰り返す日常、何も変わらない日常。
急に治る訳でもない身体の病と心の病

もう戦力も尽きてきて、最初は抵抗してみたりしていたけどもうソレの仕方すらも忘れてしまった。



なのに何時になっても消えないのは、君の声君の顔君の君の君の全てで




「死んじゃいそうだ」




ベッドが軋んで、心も軋んで、

今 自分は独りなんだな なんて思い知らされた。




そして、ついさっき終わってしまった面会時間の事をひたすらに思い出して、かき消して、繰り返して



「行かないで。」


なんて云ってしまった自分を殺してやりたくなってきて


「また明日、必ず来るから」

なんて云ってくれた君すらも殺したくなった。



楽しい夢はヒトトキ、ほんの一瞬だ。
其れと一緒で君が居てくれるのもほんの一瞬

永い永い一人ぽっちの時間に比べたら刹那より短い。



そしたら我が儘だって言いたくなって
そしたら君が迷惑だろうなんて考える余裕もなくなって


音なんかついてない涙に溺れ死んでて、出来れば君も巻き込んでやろうと思った



案の定、困惑して 顔を歪めて 抱きしめてくれて


「すまない。」


なにも悪くない。真田は何も悪くないのに


「真田なんか死んじゃえばいい」


どうにも止まらない俺を止めて欲しかったんだ
ただ それだけだったんだ。


「幸村…幸村…」


何度も呼び戻そうとしてくれた君の中で泣いた

止まった時間の(モノクロの静止画みたいな)中で半分叫びながら、君を罵りながら、頭の中でみんな殺してやった。


「嫌だよ真田…っ…あああああああああああああああ」


半狂乱で泣き叫んでいた。

まだそのくらいは出来る身体らしい。


「ああっ真田…助けて…助けてくれよ……!!」



もう全てを吐き出せるのは君しか居なくて

それでも全て受け止めてくれるんじゃないか って期待して甘えて


それでも君は俺を置いて帰ってしまった。
あんなに頼んだのに


憎たらしい看護士に離されて、嫌だと泣き叫ぶ俺に安定剤なんか打ち付けて



遠くで響いたのは真田の声で

「幸村を一人になど…出来るわけがないだろう!!!?俺は帰らん!!!離せ!!!!!!!」


そうだ、そうだ、もっともっと、なんて思って…気がついたら真田は居なくなってた

俺は一人で真っ暗な病室に居た。



此処は精神病棟ですか?ってナースコールしようとしたら其れより数秒早くアッチから来てくれた



「もう大丈夫よ、少し参っちゃってたみたいね。何かあったらすぐ相談してね」


笑顔でそう言った女を 程度の低い雌猿が と睨み付けた。


「わかりました。もう大丈夫」


その場には 相応しい 言葉を吐いて寝たフリをした。

そうしてらその女は直ぐ出て行った。



もう大丈夫 なんて、そんな訳がないだろう


俺の何が分かるんだよ?


辛い辛い辛いんだ嗚咽する程に。

今まで培ってきたものを全て奪われてしまったんだ

大好きだった、勝つテニス
大好きだった、昼休み
大好きだった、音楽
大好きだった、美術の時間
大好きだった、
大好きだった、

愛していた、君も


全部一瞬にして離れていった

こんな辛さを誰なら分かってくれるんだよ?

もう何も握れない
立つ事も、誰かを抱くことも
話すことも

愛する人の名前を呼ぶことさえも、取り上げられてしまうんだ。




世界はモノクロにしか見えなくて
俺の全ては止まっているのに皆は動いていて
それを見て居るだけで吐き気に襲われる
毎日毎日誰かの夢をみる
地面に這い蹲る俺を見て笑って走っていく

それでも笑っていなきゃ、そう思うのはきっと未だどこかで、何かに期待しているからなんだろう



「…」


声帯が、壊れて いく


壊れ て いく


音もなく、


愛してる愛してる

助けて助けて、


「真田…さなだ…」






明日には、君を呼ぶことも出来なくなるのかと思うと

それなら今すぐに、と 願ってしまう

お前だって辛いだろう?
こんなになっていく俺を…











明日、また君は 俺に会いに来てくれる?


































Dear.  You

ありがとう、ごめんなさい、
忘れないで。

いつまでも愛しているから




PS.此処には赤もあったみたいだ

From.  Y.S

















「何故だ…幸村…?」








某日、明方、幸村は置手紙だけを残し、病室で

両腕の血管を裂き、出欠多量によるショック死をした。




「戻って来ると…云った…だろう…?お前は未だ何一つ…失ってなど居なかったのに…」









ゴメンナサイ、最愛の君に
ゴメンナサイ、希望を見出せなかった俺
ゴメンナサイ、





俺は何か 間違っていましたか…?









・RED END


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