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リボーンの提案であたしたちはとりあえず自己紹介をすることにした。
『あたしは爽風友梨。中学2年生です。』
「同い年なんだ。」
『まぁね。趣味は漫画読んだり家でゴロゴロしたりすることかな。』
「次はツナだな。」
「うん、知ってるとは思うけど…、オレは沢田綱吉。趣味は、「京子のストーキング。」ちょ、違うから!!誤解を招くようなこというなよ!」
ツナの言葉に横からリボーンがからかいの言葉を掛ける。
今まで漫画で見ていたものが実際に目の前で繰り広げられていた。
「オレはリボーン。イタリアから来た殺し屋(ヒットマン)だ。今はツナを立派なマフィアのボスにするためにツナの家庭教師をやってるぞ。」
「だから、オレはマフィアのボスになんかならないからな!!」
『ここまで巻き込まれていて、なる、ならないもないし…。』
「えぇ!?ちょ、困るよー!!」
その会話の中にあたしが入ってるなんて、ものすごく感動する…!
「で、おまえこれからどうすんだ?住むところとかあんのか?」
『・・・・。』
「ぜんぜん考えてなかっただろ?」
『そ、そりゃ、あたし今さっきこの世界来たばっかりだし、どうするもなにも…。』
本当に何も考えていなかった。考える余裕すらなかったけれどね。
でも住むところもないしお金もないというのは困りものだ。持っているのはREBORN!に関する意識ぐらい。
「なんならオレが探してやらなくもないぞ、住むところ。」
『ええ!!ホント!?』
「まぁ、見つかるまではここに泊まれ。」
「おい、なんでおまえが決めるんだよ!おまえの家じゃないだろ?」
『そ、そうだよ!ツナのお母さんに許可取らなきゃ!!』
数分後、奈々さんが帰ってきた。
「あら、いいわよ!女の子が増えるなんて母さんうれしいわ!」
「・・・。」
『本当にいいんですか!?』
「ええ!お客様用の部屋が一つ空いてるの。そこを使って頂戴。」
まだ部屋あったんだ…。沢田家って以外に中広いんだなー。
だって、ビアンキさんにフゥ太くん、ランボとイーピンだっているはずなのにまだ部屋があるなんて…。
さすがにそんなに長くは無理だろうし、早くリボーンにいいところを見つけてもらわないと。
「ツナ兄、この人だぁれ?お客さん?」
「ツナー、ランボさんと遊べー!!」
「不行!!ランボ!」
奈々さんとお泊り交渉が済むと、リビングのほうから大きな本を抱えた男の子、フゥ太くんがやって来た。
それに続いてランボとイーピンも加わった。イーピン何言ってるかやっぱりわかんないや…。
『少しの間ここに泊まることになりました、爽風友梨です。よろしく!』
「僕はフゥ太だよ。よろしくね。友梨姉って呼んでいい?」
『うん!』
やっぱりフゥ太くんかわいい!!小動物だよ、リスとかウサギみたいな!
心の中で叫んでいると、足下にモコモコしたものがくっ付いてきた。
視線を向けると角のある黒いモコモコ、ランボが下からあたしを見上げていた。
「ランボさん、こいつ見たことある!!」
「は?何言ってんだランボ?」
「なんかねー、ピカピカ光ってびゅーってなって、ランボさんがアメもらおうとしたら消えちゃった!」
いや、意味わかんない。かわいいからいいけど。
ランボはあたしのことを見上げたまま「アメ、アメ!」と連呼。ツナはそんなランボを叱りつけている。
アメなんて持ってたかな?
とりあえずポケットを探すとランボの大好きな(はず)のブドウ味の飴玉を発見した。
『これでいい?』
飴玉を差し出すと満面の笑みでそれを受け取った。
「なんか、ごめん・・・。」
『え?いや、謝んなくてもいいよ!!』
そう言うとツナは笑ってくれた。
奈々さんは優しい笑顔で部屋に案内してくれた。
くっそ、家光さん幸せものだなぁ。こんないい奥さんがいて。
いきなり来て泊めてくれなんて言うあたしを快く泊めてくれた奈々さんは本当にいい人だと思う。
「狭い部屋だけどごめんね。」
『いえ!そんな!住まわせてもらうだけで十分です!!』
部屋は二階の六畳の畳の部屋。端っこに布団が丁寧にたたんであった。
着替えは奈々さんのものを貸してもらうことになった。
ホント、何から何まで申し訳ない。
奈々さんは微笑みながら「何か困ったことがあったらいつでも言ってね。」と言い一階へと戻って行った。
一人だけになり静まり返る部屋。
そんな静かな部屋であたしは口元を手で隠してしゃがみこんだ。
声にならない叫びが溢れ出す。それは喜びからなのか、驚きからなのかわからない。
たった一つ言えることは、
あたしは、リボーンの世界にトリップしてしまった。
To be continued__
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