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3-2




校舎内は授業中だけあって静まり返っていた。たまに先生らしい声が響いたり、笑い声もするが、いたって普通の中学校。
此処でたくさんの戦いが起こるなんて誰も知らない。
知ってるのはあたしだけ。そう考えると何故か無性に虚しい感じがした。


「ついたぞ。」

『ちょ、ここって・・・!』


リボーンが止まった場所はとある部屋の前。プレートには“応接室"の文字。


『ままっ、まさかとは思うけど…』

「そのまさかだぞ。こいつにさえ許可を取ればあとは簡単だ。」


つまり、応接室にいるお方に中学に通う許可さえ取れば文句を言う人は誰もいないと…。
何が簡単だよ!!許可を取るまでが大変じゃんか!


『無理です。』

「最初から諦めんじゃねー。」

『だって、泣く子も黙らせる風紀委員長だよ?』

「いいから逝って来い。」

『変換おかしいィ!!!』


どうしよう、この人あたしが死ぬこと前提で話進めようとしてるよ絶対!
結局、どうにも部屋に入る気になれないあたしに痺れをきらしたリボーンがあっさりと扉を開け、堂々と部屋に入っていった。


「ちゃおっす、いるかヒバリ。」

『ちょ、リボ、』


<ブンッ、ドゴッ>


部屋に入った瞬間、あたしの顔スレスレに銀色の金属の物体が飛んできて、口から出かかった言葉を途中で飲み込んだ。
後ろを振り向くと、金属らしきものが壁にめり込み無残に潰れていた。


「ノックも無しに部屋に入るなんて非常識だね、赤ん坊。」

「お前は常識に縛られないんじゃなかったか?」

「マナーくらいは守るよ。」


後ろを向いたままだったあたしは、ロボットのように「ギギギッ」と音が出そうなほどゆっくり声のするほうに顔を向けた。

目に入ったのは優雅にソファに腰掛けるリボーン。
対して片手にトンファーを構え、いつ殴りかかってきてもおかしくない風紀委員長、雲雀恭弥、さん。
その腕には風紀とかかれた腕章が誇らしげにつけられていた。


「ヒバリ、お前に頼みがある。」

「君が相手をしてくれるなら考えなくも無いけど。」

「また今度な。で、頼みっていうのはな、」


雲雀さんの言い分を全力で無視するリボーン。こっちはいつ殺し合いが始まってもおかしくない雰囲気にひやひやしてるのに優雅にソファ陣取りやがって!
そんなあたしの思いとは裏腹にリボーンは徐に口を開いた。
こいつを、並盛中に入学させて欲しい。
たったその一言だったが、リボーンの目が何故か妙に真剣に雲雀さんの目を見据えていた。
リボーンの只ならぬ雰囲気に何かを感じたらしい雲雀さんは不適な笑みを零していた。


「わかったよ。僕も君にそこまで言わせる彼女に興味がある。」

「そうか。じゃあ、あとは頼んだぞ。」

「一つ貸だよ。」

「・・・しかたねぇからな。」


話が終わると、そうそうにリボーンは扉から出て行った。
一人取り残されたあたしはリボーンを追いかけようと足を扉に向けた。


「ねぇ、」

『え、』


雲雀さんの鋭い瞳があたしに向けられていた。え、何か怒っていらっしゃる?
背中に嫌な汗が流れた。なんだろう、何を言われるんだ。
雲雀さんの口元を見つめ彼が口を開くのを待った。


「いや、なんでもない。」

『っええ!?』


驚きの声を上げるとものすごい勢いで睨まれた。うあぁっ、あたしの馬鹿!完全に怒らせちゃったよ!
とにかく謝ってその場をすぐさまあとにした。


「…見つけた。」


このあと応接室で雲雀さんが静かに笑っていたことは誰も知らない。










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