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日向に夢を
春の煌めき (平次)
「なあ、平次といつになったら付き合うん?」


持っていた黒板消しが床に落ちた。


「か、和葉、うちらはそんなんちゃうよ」


だって和葉が平次のこと好きってしっとるんやから。
大事な幼馴染みの悲しむ顔なんか見たないに決まっとるやん。


「うちに気つこうてんのか。」


「ちゃうよ、事実やで。安心してな。」


「(遊が違うって言うても
平次もばればれな態度やんか。
ずっと前から平次なんかただの幼馴染みや、アホ)」


「わ、雨降りそうな天気やんな。すまん、
和葉先帰っといてな。うちはもう少しかかりそうだから。」


「うわ、まじや。すまんな遊、
うち今日傘持ってきてへんのや。
せなから悪いけど先帰らせてもらうな。ほな、また」


平次なんか…好きやない。ただの幼馴染みや。
和葉は絶対悲しませえへんで。きっと大丈夫や。


誰にも知られないうちにはやくこの気持ちを消さなアカンな……


『遊、まだ日直の仕事終わってへんのか。』


「平次、和葉は先帰ってしもたんや。ごめんな。
うちが雨降りそうやから帰れ言うたんや。追っかけたってな?」


ああ、心臓が痛い。くるしい。
なあ、うちには全部守るなんてでけへんよ。
、どないしたらええ?


『はあ?何言うとるん、アホちゃうか?
お前まだ和葉と俺が恋仲や思うてるんか?
はあ、ええから黒板消し貸せや。届かんのやろ』


「え、ええよ。はよ追っかけたってえな」


だって、きっとうちと平次が二人きりやったら
和葉は嫌な思いするのやろ。
そんなん耐えられへんに決まっとるやん。


『ええから早よ貸せ』


はあ、こうなったら平次は聞かんのや。


「ありがとうな、平次」


和葉、ごめんな。今だけうちの気持ち優先させて。今だけ…


『おう(その笑顔はアカンやろ。可愛いすぎるやんか。)』


その間に他の仕事を終わらせた。


「すまん、平次。ほんまにありがとう」


『別にこれくらいええよ(なんやこいつ、素直で可愛いな。)』


ちらりと外をみて、後悔。


「うわ、雨すごいことになっとる…」


『あんな、遊、』


「急にどないしたん?」


『俺、遊が、好きやわ。』


「は?何言うとるん?和葉はどないすんのや!」


『せやから和葉は違う言うとるやんか!
あいつは男おるやん。ちゅーかなんで俺と和葉なんかが
付き合わなアカンねん。』


あ、そういえば和葉がこの前そんなこと言っとった気する。


「ほな、良かった…」


視界が歪む。


「うち、平次を好きでいてええねんな」


恥ずかしいことに涙が止まらない。


『おまっ、(今日可愛いすぎるやろ。理性が死にそうや)』


「平次、好きや。むっちゃ好き。」


『っ、アカンやろ。お前今日可愛いすぎる。』


平次に抱きしめられた。少しだけくるしい。
けど、幸せなくるしさだったりする。


『ずっと俺だけのものやで。一生離してやらんからな』


「離されたりしたら地獄まで追いかけたるわ」


『恐いなあ。そろそろ帰るか』


二人で歩く雨上がり


視界にはいるのは


春の煌めきで…








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