つめたいゆび
冬場の猫鍋のようにひっついてみると、末端からひんやりした冷気。彼の指はいつも大抵冷たい。
「熱っ」
握ってみると驚いたように声を上げた。
「熱くはないだろ。人肌だよ」
「びっくりしたぁ、暖かいですね、手」
「うん」
にぎにぎしてみても簡単にはあたたまらない。
ふと唇を寄せてみる。触れる寸前、まるで氷がそこにあるような冷たさを感じた。
冷え過ぎじゃないか。 案外しっとりした指を唇でふにふに食んで感触を楽しんでいると、
「うぁ、あの」
「はに」
「なん…ですか、それ」
「温めてるんだけど。ダメ?」
「だ、だめです、その、えろいからだめです」
へえ、と笑って、俺は彼の長い指にやんわり歯を立てる。
「…ダメ?」
真っ赤になった彼が、うう、と唸ってこちらを睨んだ。
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