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画面の中の
 

 指先で端末の画面をついつい、と撫でてデータフォルダを開く。
「…んふふ……あぁー…かっこいいなぁー」
 個人的な目的で撮らせてほしいとお願いすると、なんだかんだと理由をつけて撮らせてくれないくせに、自撮りの写真は公になる場所で公開する。年上の恋人は少し意地悪だ。
 おかげでこうして、ひっそりこっそり片っ端から保存した「皆が見ている」彼を愛でるしかない。
「あぁ〜、かっこいい、かっこいい…かわいい…かっこかわいいぃ………」
 次、次、と画像を眺めながら無意識に呟いてしまう。
 可愛いと格好良いをごちゃごちゃに繰り返してごろごろ転がって悶えていると、不意に、自分の上に人の重みがのしかかる。
 びくっと震えて顔だけ振り返ると、
「…本物はどうかな?」
 からかうような目が笑っている。
「ほ…」
「ん?」
「本物が一番です!」
 気迫を込めて答えると、彼は笑った。





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あきゅろす。
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