夏のこと
あっつい…、としおれている彼は体温が低い。
くっつくと、こっちは気持ち良い。彼はますます暑いらしいが特に離れるように言われないのでそのままくっついている。
体温より高い気温の日々。
彼は日に日にしおれている。せめて何か慰めたいけど。
くっついていた俺が離れると、途端に視線が追ってくる。どこにもいかないよ、と笑って見せて、台所の冷凍庫から氷をひとつ拝借する。
口の中でじわじわ溶けるそれを、彼に覆い被さってしおれた唇に押し当てた。
「わっ」
突然の冷たさに零れた悲鳴に含み笑い。吐き出した俺の息はひんやりしている。
それに気付いたらしく、すがりつくみたいに目が俺を見る。
凍える吐息を吹きかけてやると、うっとり笑って、大きな手が俺のうなじにまとわりついてくるからたまらない。
引き寄せられるまま、キスをする。
氷が溶けてしまっても、くちづけは続いた。
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