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Computer City
 

 タオルをばさばさ振ると細かい髪の毛が床に落ちた。頭を掻こうとするから慌てて手首を掴む。
「待てって。服、毛だらけになるからシャワー行ってこい」
 体温の低い肌が手のひらから離れて、素直に、入り口横にある風呂場に大きな身体が消えた。
 青白い目と、薄緑と茶色を混ぜ合わせた髪で飾られた、いやに整った顔。古いのも新しいのも揃っていた傷だらけの身体。名前は、トイ。
 それしか知らないのか、自分の胸元に手を当てて「トイ」と言ったきり、トイは口をきかない。ゴミ山の壊れたお喋り人形の方がよっぽど喋る。
 そう、オレはいつものゴミ山で仕事をしている最中だった。
 単にアイランドと呼ばれるそのゴミ山は、型落ちや故障で使われなくなったありとあらゆるコンピューターがたどり着く場所で、オレはそこに入り込んではリペア用の部品や、売れそうなジャンクを探して日々を暮らしている。
 ほとんど新品のノートパソコンを抱え(これは趣味の悪いカバーを取り替えれば高値く売れそうだった)、細々した部品を入れたリュックを背負い、オレはブラウン管ディスプレイの階段を下りていた。
 つい数時間前に投棄車が来たのか、新しい山ができている。オレはなんとなくその山に近寄り、



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