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変わり続ける永遠の中に居る。
 
 それ以外ないほど幸福で、
 だから、
 それ以外ないほど不幸。



「我が君」
 呼びかけ、風邪を召されます、と男は言ったが、温暖な気候帯であるこの国で、しかも人目の前に肌を晒す事に一切抵抗が無い王は素知らぬ顔で枕元の果物籠に手を伸ばし、熟れた柘榴を割り啜った。
 薄衣一枚も身にまとわぬ姿で、王はぬるい熱がこもったままの寝台にゆったりと身を預けている。男は――王の第一の臣である男は、柘榴から滴り、王の象牙色の腕や首を濡らした果汁を、濡らした布ですぐに拭いた。
 ひんやりとした布の感触に一度は目を細めた王は、しかし、その気紛れが常であるように手の中の柘榴に力を込める。水気の多い実が潰れ、赤く、甘酸っぱい果汁がなめらかな肌を幾筋も伝い落ちた。
 やや肉厚な唇で王は笑む。額に落ちた亜麻色の髪の陰で、黒々と濡れた瞳が男を見上げる。
 うっすらと、その目にだけ呆れた色を浮かべる男は、自らの役割をよく理解していた。身を屈めると、薄赤く濡れた跡に丁寧に舌を這わせる。
 腹、胸―― そうして男の舌が首筋をくすぐると、王の手が焦れたようにその頭をかき抱いた。
 遠くから、夕べの祈りの時を告げる清浄な鐘の音が響いている。




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