犬と猫
「俺さあ、ちょっと前からペット飼いだしたんだよね」
「へー！なに飼ったの？」
「猫。白いの」
「ネコかー、いいな。名前は？」
「トラ」
「トラ？…白猫じゃないの？」
「白猫だけどうちは代々猫の名前はトラなんだよ」
「へー、まあいいけど…」
「可愛いんだよなー。朝晩散歩連れてくんだ」
「へえ、猫って散歩させるんだ？珍しくない？」
「させるよ。当たり前じゃん。てか散歩させないと駄目だろ」
「そうなの？ふーん」
「お前は何か飼ったりしてないの？」
「うちのマンション、ペット禁止なんだよ。あー、でも飼うならネコ…いや、犬もいいよなぁ」
「えー、犬？犬は嫌いだな、俺」
「あれ、そうだっけ？まあネコ飼ってたらそうか」
「だってあいつらさ、寄ってきて足のとことかに、ぬるってすり寄って来るだろ？」
「…え？…いや、…」
「あと、棚の上に登ったりするし」
「ん？え？」
「壁で爪研ぐだろ」
「ちょ、」
「なかなか懐かないし」
「それはお前が嫌われてんだよ。いや、じゃなくて、ちょっと待って！」
「え？」
「お前、それは、ネコだろ？」
「え？」
「だから、ぬるっと足元にすり寄ったり高いとこ登ったり壁で爪といじゃうのはネコ！」
「え？なに言ってんのお前」
「ネコだって、それ！お前が嫌いなのは犬じゃなくてネコ！」
「え、お前疲れてんの？帰って休んだ方がいいよ」
「疲れてないよ！ネコだよ、それは！」
「ちょ、マジで…お前どしたの、今日。猫はそんな事しないって。そりゃ少しはソファに爪がひっかかったりはするけど」
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