佐々成政
ろくな抵抗もなく、力を削ぎ落とされ降伏の意志のあった相手を斬った刀を腰の鞘におさめ、成政は累々と並ぶ死体をぐるりと、冷たい目で見渡した。
肩の辺りで開いていたステータスのリロードが終わり、戦歴が書き換えられたのを確認して、成政はその画面を通信網リストへ切り替えた。
一覧の上にある王冠のアイコンを選ぶと、すぐに信長へ向けたアクセスが始まる。
「成政」
「柴田さん、…信長様のコンタクトが」
「あなたも? ログアウトしているわけでもないのに…」
何度目かのコンタクト要求を行っていた、その時。
赤い文字で「速報」と書かれた画面が、二人の視界に同時に入ってきた。
ぱっ、と画面が切り替わり、少し荒い動画が流れ出す。
癖のある長い髪。
黒一色の制服。
赤いリボンが、動かない身体の上へ一筋、線を引いていた。
成政と勝家は無言だった。
ざらつく映像は更に、もうひとりを映し出す。
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