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傷と祈り
ほんの一筋ついた指先の浅い傷を成政は見逃さなかった。
「絆創膏を」
細く冷たい信長の手を、成政はそっと握る。
「成政は手があたたかいな」
「信長様は冷えていますね」
「……そうか」
そうですよ、と答えて、まるで陶器のように冷えた手の甲をおしいただいた。
「成政?」
ああ、この冷たい手の温度が少しでも暖まるまで。
どうか。
どうか。
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