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清洲にて
 

「さて、お前の事をどこまで信用したら良いのかな」
 信長は勝家を見ずに、静かな声を宙に投げかけた。
 こと、こと、と靴音が二人の間に響く。
「……信勝様は、あなたを討つ気で兵を集めているのです。土田御前も、…それに」
「土田御前もか。ふふ、嫌われたものだ」
 勝家の後ろに立ってそう笑った信長を振り返り、
「信長様、私を信じて下さい。今あなたを失ったら、織田家は…!」
「滅びるか。勝家、お前のその、誰よりもこの織田の家の事を考えてくれている気持ちはわかっているよ」
 ゆっくり振り向いた信長は、微笑したまま勝家の肩に手を伸ばす。
「お前の中で、私は頭領として認められたのかな? 勝家」
「それ、は…」
「信勝よりはましと言ったところか。まあ、それでもいい」
 信長の指先が、すう、と勝家の肩を撫でるとそこには薄墨の色で織田の家紋が浮かぶ。
「私の望みは、叶えられるか?」
 囁いた唇が笑みを失い、その瞳がぼんやりと炎の色を帯びた。勝家は息を呑む。
「――…必ずや」
 潜めた声で勝家が答えると、信長は炎を帯びた目を細め
「では、勝家、清洲で信勝を殺せ」
 ひどく冷えた声で告げた。



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あきゅろす。
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