SS The health diagnoses@(パロディ) 『シャーネさん。 シャーネ・ラフォレットさん。 健康診断のお時間ヨー。 1番のお部屋にどうゾー。』 シャーネと呼ばれた女性は、静かに待合室のソファから立ち上がった。 此処は、マルティージョ病院。 モルサ・マルティージョ現院長によって開業された病院だ。 カモッラとかいう組織とつながっているだの、隣のジャズホールの経営者とよろしくやっているだの、副院長は悪魔らしいだの、『俺には何でも治せる』といって憚らない無茶苦茶な医師がいるだの、妙な噂は尽きない。 が、まるで闇討ちにあうかの如く次々と近所の病院が潰れていったお陰で、そこそこに繁盛していた。 さて、このシャーネという女性、実はマルティージョ病院に来るのは初めてである。 つい先日この土地に引っ越してきた彼女は、噂も何も、本当にまったく何も知らないまま、1年に1度の健康診断を受けに来たのだった。 ――そういえば、病院に行くなんて、何年ぶりだろう… 以前までは、過保護な父親が当直医のようなものだったのだ。 だから、病院に来るのもずいぶんと久しぶり。 シャーネはにわかに緊張しながら、1番診察室のドアノブを回した。 to be continue... [*back][next#] |