novel Why?(クレア→シャーネ) 「クレアは、シャーネって奴のどのへんが好きなんだ?」 幼なじみであるカモッリスタの唐突な質問に、俺は僅かばかり目を見開いた。 どのへんが、っていうのは、正直難しい質問だ。俺は、シャーネの全てを愛しているからな。 …ていうか、気安くシャーネの名を呼ぶな。 あと、俺はフェリックス・ウォーケンだ。 「じゃあ質問を変えるけど、どうしてクレアはシャーネのことを好きになったんだ?」 俺の最後の二言を完全に無視した、質問に、俺は再び目を見開いた。 “どうして” ――きっかけは、あの列車だ。 確かに俺はあそこでシャーネに惚れて、求婚した。 だが、好きになのはどうしてだ? 好き、と、惚れる、は違う。 惚れる、というのは一瞬だ。 それに対して、好き、というのは継続的なものだ。 …と、俺の辞書にはある。 “どうして好きになったんだ?” …違うだろう? 今、まさに一瞬一瞬を積み重ねて、俺はシャーネを好きになっているんだ。 …そうだ、違う言葉で、こう言うだろう? それは―― 「…クレア?」 …ああ、随分長い間、黙ったままでいたようだ。 「悪い、また今度な!」 俺は勢い良く席を立った。 後ろからなにか言っているけど、気にしている暇はない。 そう、俺には時間が無いんだ。 この一瞬の積み重ねを、君に伝え続けたいんだ。 ああ、シャーネ、 「愛してる!!」 (それは、永遠のことば) end. [*back][next#] [戻る] |