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novel
0cm(クレシャ)


朝起きると、隣に少し眩しいくらいの、紅。



(!?)


シャーネは何が何だか、咄嗟には判断できなかった。


(どうして、此処に居るの…?)

昨晩は、12時過ぎ頃にベッドに入ったはずだ。
もちろん、1人で。

不思議に思って、そのままじっと赤毛の青年―――クレアを見つめる。

そのとき、ふと彼の唇に目がとまった。
先日のキスを思い出し、頬を朱に染める。
薄い唇だが、これがシャーネに愛を囁き、触れてくるのだ。
なんだか艶っぽく見えて仕方がない。


シャーネは知らず知らず目の前の唇に手を伸ばした。

つう、と細い指でなぞる。


背筋が、ぞくりとした。


(―――もっと…、)


シャーネは相手が寝ていることを確認すると、恐る恐る顔を近付ける。
そして、唇が触れるか触れないかの位置で近づくのを止めると、


ぺろ、


と舐めあげた。

どうしようもない甘さが口と脳、そして体中に広がる。


もう1回だけ、と口を近付けて、離れられなくなってしまった。
後頭部には、温かい手のひら。

数秒経ち、やっと解放される。


「おはよう、シャーネ」

(…いつから、起きてたの…?)

「シャーネが指で俺に触れたときから」

そう言ってにやりと笑う。
シャーネは真っ赤になって俯いた。

(…いつから、居たの…?)

「朝方4時頃だな。仕事のあとに来たんだ。シャーネの顔を見たらすぐに帰ろうと思ってたんだが、シャーネがあんまり可愛いんで、つい離れられなくなって、まあ、結局こうなった」

クレアは嬉しそうに話し、シャーネの頬に手を添えた。
ますます熱くなる頬に耐えられず、ますます俯く。

そんなシャーネに優しく上を向かせると、クレアはその耳元で甘く囁いた。


「シャーネがそのつもりなら、俺は遠慮なんかしないからな?」



顔を真っ赤にして目を見開く彼女と、彼女を愛する彼。



その距離は、0に等しい。




end.

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