novel
PARTNER(クレシャ)
シャーネは自室でナイフを研いていた。
平らな研ぎ石を水で濡らし、その上に刄を滑らせる。
シュッ、シュッ、と音を鳴らすと、ナイフと研ぎ石を水ですすぎ、またその行程を繰り返す。
床に座り込み、いつしかその作業に夢中になっていたシャーネは、来訪者に気が付かなかった。
「やあ、シャーネ」
(…ッ!?)
びくりと肩を震わせて顔をあげれば、そこには赤髪の愛しい彼――クレアがいた。
(…いつから、いたの?)
「ついさっきだ。――ああ、続けていいよ」
こくりと頷いてまた研ぎ石を手に取るも、クレアの視線が気になってやりづらい。
じー…。
視線に耐えきれず、やっぱりやめて、あとでやろうかと考えていると、ふいにクレアから声がかけられた。
「やっぱり、シャーネはナイフが似合うな。すごく綺麗だ」
その言葉に、普段なら頬を染めていただろう。
しかし、今日のシャーネは表情を曇らせた。
(………うれしく、ない)
(だって、)
(これはただの殺しの道具だもの)
(殺しの道具を振り回しているだけだもの)
悲しそうに眉を下げ、見えない言葉を紡ぐシャーネに、クレアは一瞬目を見開くも、次の瞬間には優しげに微笑みかけた。
「シャーネ、それは違う」
(…?)
不思議そうに顔を上げるシャーネの金の双眸を見つめ、クレアは語りかける。
「確かに、殺しのときに使う道具でもある。ただ、目的は違うだろ?」
そこで、傍らに置かれたナイフを手にとり、シャーネの目の前にかざす。
「ナイフの形をよく見てみろ。何故シャーネは両刃のナイフを使うんだ?」
シャーネは特に答えることはせずに、じっとクレアの言葉に耳を傾けている。
クレアは自信たっぷりの笑みを浮かべた。
「俺は知ってる――片方の刄で敵を退け、もう片方の刄で仲間を守るためだ」
シャーネが、僅かに目を見開く。
「片方の刄じゃ足りないくらい大切なものが増えて、それでも一生懸命にそれらを守ろうとしてる。――…だから、」
「…だから、それは殺しの道具なんかじゃない。大切なものを守るための、相棒だ。――大事にしろよ」
シャーネは、きゅっと唇を引き結び、しっかりと頷いた。
(――私は、貴方も守りたい)
(こんなちっぽけで薄っぺらな刃なんて、貴方には必要ないかもしれないけれど、)
(でも、貴方は私のいちばん大切な人だから)
(私は貴方を、守りたい)
想いは、鋼色に光る相棒の、その両刃に刻んで。
end.
***
なんか、よくわからない文章になってしまいましたね…。
てか、シャーネのナイフって、両刃だったっけ?
…うーん、
違うような気がしてきた;
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