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短編小説
3:我慢出来ない!※
 気付けば翔太の膝の上に置かれた手は太股の上を這っていて、うっかりそれを心地よいものだと感じてしまった彼は、慌てて体を後ろへと引いた。

しかし、後ろは屋上の背の高いフェンス。

それはカシャンと音を立てて翔太の背中に当たっただけで、体がすり抜けるはずもなく。

というかそれはそれで地面に真っ逆さまなので、困るのだが。

 でもそのぞわぞわという感覚から逃げたくて、後ろがダメなら前に・・・と腰を浮かせれば、その太股に触れていた手が際どいところに触れて、逆戻り。

眉間に皺を寄せ、困ったように・・・というか元々の顔のせいか怒っているようにしか見えないが・・・遥を見れば、眼鏡の奥の目を細めて微笑まれるだけで、どうやら止めるつもりはないらしい。

完全に八方塞だ。

「た、高遠・・・っ!」

 だったらどうにか説得して、この手を離してもらえないだろうか。

「どうしたの?」

しかしそんな翔太の願いも空しく、遥は首を傾げただけ。

その間も太股を撫でる手は徐々に上へと上がっており、少しでも動けば少し熱を持ったオスに触れてしまいそうなのだ。

 そんな真っ赤な顔で眉を寄せ、何か言いたそうに口をぱくぱくする翔太の姿は遥の目にどう映ったのか。

「(あーやっべぇ・・・マジ我慢できないかもしんねぇ。可愛すぎ・・・!)」

と、やはりどこかずれた考えのようで、その目は爛々と輝いている。

 逆に翔太といえばそれに加えカッチンコッチンに固まっていて、見ているこっちが可哀想なほどだ。

「ねぇ、三上君・・・」

「・・・へぁ!?」

それに更に追い討ちを掛ける様に唇が触れ合いそうなほど近付いた遥に、驚いた翔太は思わず体の硬直を解いてたじろいでしまう。

するとどうだろう。

狙っていたかのような自然な動作で、尚且つ足の間に遥の手を挟みこむ体勢で押し倒されてしまったではないか。

「ふふ・・・三上君て意外と大胆」

 そう言う遥に、翔太は明らかにお前が押し倒しただろう!と叫びたい気持ちでいっぱいだったのだが、しかし反応しかけたオスをがっつり握り締められてしまえばどうすることもできない。

しかもさらに微妙な力加減でそれを揉まれるもんだから、翔太は顔を真っ赤にしたまま唇を戦慄かせることしか出来なかった。

「た・・・かとぉ」

「いい声・・・ねぇ、もっと名前呼んで欲しいな・・・遥って」

 体を硬直させたまま、下半身を襲う熱を持て余す翔太が声を上げれば、遥はうっとりするような声でそんなことを囁いてくる。

唇が動くたびにそれは翔太のそれと触れ、柔らかなそれに誘われるように名前を呼んだ。

「・・・はるか」

「ん・・・もう1回」

すると、その唇を舐められ、妖艶に微笑んだ遥に、もう一度名前を呼ぶように強請られる。

「はるか・・・あ!・・・っぅ」

素直にもう一度名前を呼ぶ翔太にご褒美だと唇を食んでやれば、そこからは甘い声が漏れ、触れているオスがピクンと反応を返した。

 開いた口の狭間からスルリと舌を滑り込ませ、無意識に差し伸ばしてくる舌を避けながら歯列をなぞってやれば、面白いようにビクビクと体が震える。

遥は何も知らないと思っていた翔太のこの反応が面白くて、同時に快感に弱いらしい彼にほくそ笑んだ。

「(やばいな・・・これは嵌りそうだ)」

 自分好みの相手を手篭めにするにはどんな手段だって使う遥だったが、この翔太に関してはその思考が更に強いような気がする。

慎重に相手のことを調べてから落としていく彼にしては珍しく、突発的に口説いてしまったことからも言えるのだが、それを考える余裕さえなかった。

今を逃してはダメだと思ったのだろうか。

しかし、今はこの目の前の翔太を味わうのが第一で、先のことはこれから考えていけばいいんじゃないかという結論に陥った。

「っ・・・ふ」

 口を塞いでいるからか、ひくひくと苦しそうに動く鼻腔が翔太の感じている快感のレベルを表しているようで、布越しの愛撫が物足りないものに感じてしまう。

もっと感じさせたい、自分の快感のためではなく相手のことを思ったのは翔太が初めてで、遥はそんな自分に驚きながらも、悪い気はしていなかった。

 器用に片手でベルトのバックルを外し、同じく片手でボタンとファスナーを下ろすと、既に大きな染みの広がっている下着を制服のズボンと一緒くたに引き下ろしてしまう。

「っ!?」

それに驚いたように翔太は目を見開くが、絡み合った舌を吸ってやればすぐにその目はトロンとしてしまい、すっかりキスに夢中だ。

 中心でふるふると震えるオスに直接触れれば、滲み出た先走りで指が滑り、それに思わずにんまりと笑ってしまう遥。

感じやすい体にもっと色んなことを教え込んでやりたくて、しかし焦りは禁物だ。

今は流されているとはいえ、翔太はノンケだろうというかあまり色恋沙汰に興味があるようには見えない。

正気に戻った途端、汚い言葉で罵られることも過去の経験上考えられて・・・しかしこのまま致してしまいたいという気持ちもあり、中々難しい。

しかしとりあえず今は翔太を気持ちよくさせることだけを考え、この吸い付くような手の中の感触に思考を集中させることにした。

「好きだよ・・・」

 唇を離す際にそう囁いて、強請る唇に何度も何度もキスと甘い言葉を囁いてやる。

その間にも手の中の翔太のオスは育ちあがり、唇が触れるたびにびゅくんと先走りが漏れ、竿を擦り上げるたびくちゅくちゅと湿った音が更に2人を盛り上げているのだ。

 翔太の腰は我慢しきれないように揺れ、早く開放してくれとばかりにくねる。

快感を他人の手でコントロールされるなんてことは初めてで、翔太自身もう何が何だか分からない。

ただ、この快感を与えているのは自分が理想としていた高遠遥という人物だということだけで、他はもうどうでもよかった。

「はる・・・ぁ・・・っ!く・・・」

 それだけしか知らないように遥の名前を呼ぶ翔太に、誘われるがまま深く口付けると、強請るように舌を絡めとられる。

それに答えるように先端の割れ目を指先で擽ってやれば、翔太はついに耐え切れず、つま先をピンと伸ばした後、ぐったりとしたように弛緩した。

「はぁ・・・っ、く・・・ぁ」

 眦にうっすらと涙を浮かべ、荒い息を吐く翔太の顔中に遥は口付けると、オスに触れていた方とは逆の手で、頬に触れてやる。

「翔太・・・」

と、名前を呼ぶ彼は翔太の知っている遥とは違う、しかしその仮面に隠された本当の彼を見た気がして、それに表情を緩めた。

 しかしやけにすっきりとした感覚と、ベタベタとする下半身に我に返った翔太は、茹蛸のようにボンと顔を真っ赤にしてしまう。

「あ・・・わっ、ぁあああ」

「え?」

そして、沸点を超えてしまったのかボフンと湯気を立ててぐったりしてしまった翔太に、遥はこんな調子で自分がこれからも我慢できるのだろうかと、頭を抱えたのだった。

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あきゅろす。
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