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短編小説
番外:もしもシリーズ・翔太編[1周年]
Q.もしも翔太がガチで不良だったら?


「あぁ?誰が誰のことを好きだって?」

「だから。僕が君のことを」

 ったく今日は朝からついてねぇ。

自転車に引かれそうになるわ、野良犬に小便掛けられるわ、学校に来たら生徒指導に追いかけられるわ。

せっかく来てやったのに、俺に学校くるなっつってんだな?そう結論付けた俺はいつものごとく屋上にフケにやってきたわけだ、が。

 気付けばその間の記憶がスッパリ抜けてて、目の前には何故か王子だってもてはやされてる、俺とは正反対の優等生の鑑とも言われる高遠遥。

しかもなんだ?俺のことが好きだって!?

「ふざけてんじゃネェ」

「僕は至極真面目だよ。冗談でこんなことできると思うかい?」

 そう言った高遠はふいに俺との距離を縮めてくると、ああ・・・これは王子だって言われても仕方ないな、って!

「おま、今・・・っ!」

き、キスしやがった!?!?!?

「僕は本気で君のことが好きだよ」

「なっ・・・おま、嘘だ、ろ・・・」

思ったよりも綺麗な顔に思わず見とれて、その隙に・・・クソっ、初めてだったのに!

 勝手に赤くなる頬を隠すように顔を背けて、すると思ったより近い場所でその甘ったるい声が聞こえてビビる。

「・・・三上くん」

「うぁっ!な、何だよ!?」

「これで僕の言ってること信じてくれた?」

ふぅっと息を吹きかけられて、ああ!やめろ!俺は耳が弱いんだっ!

「っ・・・う!わ、わかった!信じるから!信じるから・・・っ!」

「本当?嬉しいな。じゃあ、これから君のこと本気で落としに掛かるから・・・覚悟しとけよ?」

「ひぅっ!」

 最後にあの高遠が発したとは思えないど低く、高圧的な声に驚いて、でもそれ以上に耳を噛まれた方が俺としては一大事。

「ぅ、あ、ああ、お、お前・・・っ」

やっと距離を離した高遠にほっとするが、

「これから楽しくなりそうだね・・・三上くん?」

続けられた台詞に俺は、背筋が冷たくなるのを感じた。


A.これはこれで萌えかもしんない。

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