短編小説
1-10 ※
「う・・・っ!く・・・凄っ」
強引に捩じ込んだというのに、銜え込んだ途端離さないとでも言わんばかりにキツく締め付けながらも奥へ奥へと誘い込むように蠢く内壁に、勇は思わず声を上げていた。
気を抜けばイってしまいそうなほどの快感にその端正な眉を寄せ、それをどうにかやり過ごす。
こんなことは勇の25年の人生の中で、初めてのことだった。
繋がっているとこはもちろん、相手に触れている手、腰・・・触れ合っている全てが心地いい。
初めて童貞を捨てた時でさえ“こんなもんかな”と漠然と思っただけで、まあ刺激されれば勃つよな。それにまあ、それなりに気持ちいいし。となんとも冷めた感想だったように思う。
それがどうだろう。
具合がいいと言えばそれだけだが、まるでパズルのピースとピースが合わさったように・・・と言えばなんだか気障だが、それほどまでに忍のナカは勇の雄にぴったり嵌るように吸い付いてくるのだ。
「はぁっ・・・ぁ、イイっ、凄い・・・よ、しの・・・ぶさんっ!」
まるでセックスを覚えたてのガキみたいだ。と勇は蕩けるような思考の端っこでそう思うが勝手に動く腰は止められそうになかった。
テクニックも愛撫もくそもない、ただ自分が気持ちいいように乱暴に腰を振るっているだけだというのに、忍のそこは全てを受け止めるように温かく、柔らかに締め付けてくるのが堪らなく気持ちがいい。
容姿や背格好だけでなく、見た目の割に虐めがいのありそうなところも、それにセックスの相性もいいだなんてこれは何ていう出会いだろう。
精悍で男らしく、ともすれば強面と呼ばれるような厳つい容姿に、肉体労働らしく自然と鍛えられた引き締まった屈強な体・・・勇は自分の好みが偏っているとは一応自覚していたが、どちらかといえば“綺麗、背が高く、細くてスラッとしている”などと評される自分と真逆の様な相手に惹かれるのだと漠然と思っていた。
だが、これは・・・。
「(忍さんに会うための運命だったのかも)」
そう些か乙女思考にもそう思った勇は瞬間、胸を何かで打ち抜かれたかの様な感覚がして、
「う、ぁ・・・ああ・・・止まんな・・・っ」
あ。と思ったときにはもう遅い。
腰だけではなく全身を振るわせながら勇は、自分でもどうかと思うほどあっけなく射精してしまっていた。
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