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短編小説
1-4 ※
「・・・はっ、あ!み、見るな・・・っ!」

 やはり居留守だったらしく、部屋の中にはここの主・・・安田忍らしき屈強な体格をした男が1人。

男の1人暮らしらしく部屋には殆ど家具がなく、床はきちんと見えているがそれなりに汚い。

そして万年床になっているのだろう薄い布団が1組敷かれており、その上で忍は不法侵入者である勇に威嚇するように低い声を上げていた。

 しかしその布団の上にいるのは彼だけで、どこにも彼女の姿は見えない。

今日はまだ始める時間ではなかったからシャワーでも浴びているのかもしれないが、それがないことは先ほど勇が隣から耳を澄ませていたことで確認済みだ。

 それに玄関にははきつぶして泥まみれのスニーカーと地下足袋が1組ずつ。

忍の体格とこの靴からして土木関係の仕事だろうことが伺われ、極めつけは彼が身にまとっていた汚れたつなぎだった。

地下足袋なら作業着だろうだろうが、今日の仕事はペンキを取り扱ったのだろう。

スニーカーにも色とりどりのペンキがついている。

などと勇が忍の観察をしている間にも、彼の元々赤かった顔は増々赤くなり、しかしそれは怒りとは別のものだった。

「安田忍さん?」

 1分にも満たない睨み合いの末、先に口を開いたのは不法侵入中の勇だ。

現在彼の甘い顔には笑みが浮かんでおり、面白いものを見つけたとでも言いたそうな顔をしている。

それを真っ正面から見てしまった忍は更に顔を赤くし、そしてついには我慢できずに声を上げてしまった。

「・・・っあぁ、・・・んんっ」

「へぇ・・・そうか。あの声の主はあなただったんだ。それ、そんなところに銜えて美味しい?」

 という勇の視線はつなぎの前を全開にし、陰茎よりも陰嚢よりも更に奥で細長くカラフルな棒を銜え込んでいる忍の尻の穴に釘付けだ。

「エロそうな体してるのに、そんな細いので足りるのかな。ね?忍さん」

そう楽しそうに忍に問いかける勇は後ろ手に鍵を閉めると、優雅にも見える動きで近所履きにしているおっさんスリッパを脱いだ。

なんだか微妙なところで庶民派な彼である。

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