平凡と俺様 誕生日は嫌い(帝龍)[2010年帝臣誕] 「それでは、本日17歳の誕生日を迎えられました帝臣様にお言葉を頂戴したいと思います…帝臣様、よろしくお願い致します」 「皆さん、お忙しい中お集まりいただきありがとうございます。今年も私のためにこんな素敵な会を開いていただき、とても嬉しく・・・」 さて、俺・・・双龍くんがどこにいるかといえばご覧の通り。 場違いにも程がある帝臣の誕生日パーティーの真っ直中ですよ! いや、俺だってもちろん遠慮したよ?でもさ、帝臣がどうしても来て欲しいって。いるだけでいいから来て欲しいって言うから、さあ。 仕方なくだよ? まさか、この会場のホテルのスイートに泊まらせてくれるとかそんなのに釣られたんじゃないんだから!・・・・・・あ。 ・・・ゴホン。 まあ、そういうわけで帝臣の誕生日パーティーにお呼ばれされたわけなんだけど、 次 元 が 違 い す ぎ!! もう、庶民の俺は端っこでガクガク震えてるしかないですよ! 周りを見渡せば、誰も彼も着飾ったセレブばかりで・・・俺だって一応帝臣に用意してもらったスーツを着ているわけだけど、こう!滲み出るものが、ね? それにテレビでみたことのある政治家や、あ!あれは俳優の・・・玉木瞬!あっちは最近話題の双子モデルって・・・興奮するより、肩身が狭い。狭すぎるよ! 俺を招待した当の本人は挨拶が終わった後、すぐさま色んな人に囲まれてしまって俺のことなんて放ったらかしだし。 ・・・つまんない。 もちろん、そんなこと言いつつちゃっかりご馳走は戴いてますけどね!!!食わずにやってられるかってんだ。 立食形式のテーブルをあちらこちらと移動して、デザートに舌鼓を打っていると、 「あ」 思いの他近くに帝臣さん発見ですよ。 アイツってば無駄にデカイから、こんな人混みでも頭一つ分飛び出してる。 それに反して悔しいことに俺は平均ギリギリなわけで。 気付くかな、なんてフォークを止めてそちらを見つめていれば、奴は俺に見せるのとは違うカッコいい笑みなんか浮かべて、両手に・・・いや、余すとこなく花!花!花!で俺になんて気付きやしない。 「鼻の下伸ばしやがって」 あ、なんか鼻の奥がつんとした。 「・・・バーカ。気付けよ」 何か知らないけど、凄く嫌な気持ち。 気付いてくれなかったのが気に食わないわけじゃない。人混みで俺を見つけれる方がおかしいんだから。 でもさ、あんなに美味しかったケーキだって、もう味なんてしないよ? 「・・・帰ろ」 ご馳走にも魅力を感じなくなった今、ここにいる理由なんてもうないよね。 華やかな会場を振り返る勇気はなくて、脇目も振らずに会場を後にした。 扉の向こうの絨毯張りの広い廊下は静かなもので、さっきまでいたところが賑やかだった分、何だか寂しさを覚えてしまう。 「はぁ、何しにきたんだろ。俺」 独り言も思いの外大きく聞こえて、 「お前が俺の誕生日を祝いたいって言ったんだろうが」 空耳まで聞こえた。 ・・・って! 「おま!それは言ってはいけないお約束なのであるからして!!!!」 思わず兵隊言葉にもなるってもんだよ! ビシっ!と人差し指を突きつけた(人を指差すのは良くないけれども!)先には、空耳でもなければ目の錯覚でもなく、正真正銘の帝臣の姿。 白いスーツが似合うのはホストだけかと思っていたけど、この考えは改めなければいけないらしい。 今日初めて間近で見た帝臣は白スーツでもやっぱり嫌味なくらい男前で。でもその顔を見た瞬間、不思議なことにさっきまでの嫌な気分は全てなくなってしまった。 帝臣の小馬鹿にしたような笑みに癒しの効果があるなんて、嘘みたいな話じゃない? 「・・・バカ。もう、1月6日なんて嫌いだ」 「でも、俺のことは好きだろ?」 むぎゅっと抱きついて、頭上から振ってくる相変わらずな台詞に笑いが漏れる。 誰が正直に答えてやるもんか。 「知〜らない」 ・・・だけど、しょーがないから祝ってやる。 「・・・・・・帝臣」 「あ?」 ーーーちゅ 「誕生日、おめでとう」 fin ------------------------ * あとがき * ふあはっ!!! 甘い帝臣×双龍ってどうなんですかね!? まだまだ本編では色気の「い」の字もない二人なので、ここぞとばかりに???ハートを散らしてみたり。 思いの外そうちゃんが帝臣のことを好きになってしまって、気持ち悪いですが← 少しでも楽しんで頂けたなら、幸いです^^ [*前へ][次へ#] [戻る] |