平凡と俺様 もしもシリーズ:鈴木兄弟編[1周年] Q.もしも鈴木兄弟が全員年子だったら? 【設定】高3:一虎 高2:双龍 高1:三つ子 ※英秀視点です 「そうちゃん、遊びにきたよ〜!」 「龍兄、来ちゃった」 「そうにぃ、遊ぼ」 昼休み。ひょこ、ひょこ、ひょこっと我らが2-Sの教室に頭を出したのは、真新しい制服から察するに新1年生だろう3人組。 短髪でやんちゃそうなのと、眼鏡を掛けて真面目そうなのと、今にも落ちそうな瞼の眠そうなの。 その3人は揃いも揃ってこの“僕の!”双龍くんの名前を呼んでるじゃないか!しかも!物凄く親しそうに! ・・・けしからんっ! 「んん〜?はへっ?ほあえふぁっ!(あれっ?お前らっ!)」 双龍くんと言えば僕と仲良くランチタイム中で(横にはお邪魔虫の佐藤くんもいるけれど!)。ああ・・・口をいっぱいにして話す双龍くんも素敵だっ!って、そうじゃないだろう!加藤英秀。 そんなお食事中に現れた失礼な奴らだというのに、心の広い双龍くんは特に気にした様子もなく子供の様なキラッキラの眩しい笑顔を振りまいている。ああっ!あまりの眩しさに目がつぶれてしまいそうだよ!でも、双龍くんに目を潰されるなら本望・・・っ! 「むしろ潰してくれっ!」 「え?何・・・この人」 「ダメだよ、龍兄。こんな得体の知れない人と一緒にいるなんて」 「・・・キモイ」 ってああ!僕としたことが!つい、心の声が漏れてしまったようだ。・・・それにしても、増々気に食わない奴らだ。初対面だというのに、失礼にも程がある! 「こ〜ら。人を見かけで判断しちゃダメっていつも言ってるだろ?エースは・・・あ、加藤英秀っていうんだけど。エースは俺の白桜にきて3番目にできた大事な友達なんだからな。あ〜・・・ちょっと、ほんのちょっと変わったところがあるけど、いい奴だ」 「ふーん」 「・・・アヤシイ」 「そうですか、失礼しました。3番目さん、うちの龍兄がいつもお世話になっております」 「みほ!しゅう!お前らしほをもっと見習・・・あれ?なんかおかしかったような。それより!ごめん!エース。失礼な奴ばっかりで」 “大事な友達”“大事な友達”“大事な友達”その単語が頭の中でグルグルと回っていた僕は、双龍くんがせっかく話しかけてくれていたというのに反応が遅れてしまった!何てことだ! 「気にしないでくれ。双龍くん・・・ところで」 「太一さんも、ご無沙汰してます」 「あ!太一くんだ!久し振り〜!」 「・・・たいちだ」 「おう、お前ら久し振り。鷲吾は相変わらずだな〜」 挽回しなければ!とこの間発見した斜め45度いう素敵な角度の顔で返事をしたところで、しかし「彼らは誰だい?」という言葉をその眼鏡の真面目そうなのに遮られてしまった。きぃいい!そして、佐藤くん!どうして君は彼らと顔見知りなんだい!? 「で、お前らどうしたんだよ?」 「「「遊びに!」」」 「だってさ。本当、コイツら双龍のこと好きだな。いいお兄ちゃんがいて俺は羨ましいよ」 って佐藤くん!?今の言葉が本当なら、その・・・彼らは双龍くんの弟君(オトウトギミ)達ということに!? そんな、弟君だなんて・・・っ!は、髪は乱れてないだろうか!? 「はははっ!だったら太一も俺の弟になる〜?」 「太一くんだったら俺、大歓迎だよ!」 「うん。いいんじゃないかな?」 「ん」 と、僕が学ランのポケットから携帯用コームを取り出したときだった。聞き覚えのある、思わず背筋が震えてしまうほど威圧的で、それでいて魅力的な声。 「誰が誰の弟になるだって?だったら俺はお前達の兄貴になってやろうか?」 「「「「「「帝臣/会長/中大路さん!?」」」」」」 「中大路!お前、また双龍のクラスに・・・ってお前ら!?」 「「「「「「兄ちゃん/兄貴/虎兄/がずにぃ/副会長!?」」」」」」 そこにいたのは白桜学園始まって以来、絶対的なカリスマ性を持つ中大路会長。と、3年連続主席キープで双龍くんの兄君・・・鈴木副会長だった。 「なんで帝臣がここにいるんだよ!?」 「あぁ?俺がわざわざ会いにきてやってるんだ。・・・嬉しいだろう?」 「なんでお前ら三つ子まで双龍の教室にいるんだ?・・・ちょっと、佐藤くん?どういうことか聞かせてもらおうか」 「な、何で俺・・・ひぃっ!」 「帝臣!そうちゃんから離れろ!」 「中大路さん!今日という今日は龍兄ときっぱりすっぱり別れてもらいますからね!」 「そうにぃに触るな」 な、なんだろうかこれは。 中大路会長は・・・ああっ!双龍くんとそんなに顔を近付けて羨ましい・・・っ!じゃない。それを1年の3人組が引き剥がそうと必死になって、副会長は佐藤くんの正面に座って・・・それはカツ丼に電気スタンド?そんな突然の事態に僕がついていける筈もなく。 「あああああ!僕も話に入れてくれぇ!」 「「「「「脇役は引っ込んでろ」」」」」 会長、副会長、1年3人組の冷たい声が突き刺さる。もう、僕が何をしたっていうんだい!? 「エース!見てるんなら、助けろ!〜〜〜この役立たずの眼鏡野郎!」 ああっ!でも、やっぱり双龍くんのその声、堪らなく痺れるよ。 A. いえ、騒がしくて話が進まないでしょう。 [*前へ][次へ#] [戻る] |