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平凡と俺様
A
 びっくりしている俺を他所に式は着々と進んでいく。

兄ちゃんの言葉じゃないけど“あなたがいてもいなくても式には一切の進行の乱れはありませんから・・・”だっけ?なんかちょっと違うような気もするけど、新入生代表が終わったら俺は用なしだもんね。

 そんな俺と違って堂々とした態度で壇上へと上っていく帝臣は、さっき俺をからかって遊んでいた奴と同一人物とは思えないほどキリッとして見える。

よく見れば着崩されていた制服はきちっと1番上まで閉められてるし、まったく隙がない。

ほえー。人間、それなりの恰好すればそれなりに見えるもんだな。

ま、帝臣の場合元がいいから何しても似合うんだろうけどさ、ちぇー。

「・・・先ほど、ご紹介に預かりました今期生徒会長を務めさせていただいております、中大路帝臣です。皆さん、このたびはご入学おめでとうございます。ご子息の姿をご覧になり、ご父兄の皆様のお慶びもひとしおと存じます」

 って、やべ。挨拶始まってた。

こんなに人数いれば俺が聞いてないくらい分からないと思うけど、でもさーなんかさっきから帝臣こっちばっか見てるんだよなー。

なんかあとで感想とかも聞かれそうだし。

「・・・本校は昭和3年に設立され、今年は創立80年をむかえます。時代の流れとともに校舎も新しくなり、ちょうど皆さんのお父様が通っておられた頃の校舎は、一昨年すべて新しく生まれ変わりました。この学校は・・・」

 にしてもこの周りの奴らの異様な雰囲気、何だろう。

皆真剣に聞いちゃってさ、こーいうのって結構寝てる奴多いよね?

まあ、聞いてて当たり前なんだけど・・・なんとなく違和感。

「・・・皆さんはこの学校でこれから三年間学ぶわけですが、自ら動く力、考える力を身に付けてください。私たちやご両親、そして友達と一緒に、いろんなことにチャレンジしていきましょう・・・以上、私の挨拶とかえさせていただきます。・・・生徒会長、中大路帝臣」

 違和感って言えばこの帝臣の優等生優等生した態度なんだけどさ。

パチパチパチと形式上拍手をしながら、ゲェって顔を向けてやれば・・・む。余裕の笑みで返されちゃったよ。

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