平凡と俺様
B
そんな素敵眼鏡のお兄様の名前は一虎(かずとら)といい、名前の通り気性が激しいというかドSだ。
今も俺の背中に蹴りをお見舞いしてくれて、思わず変な声が出ちゃっただろ!
「・・・何か?」
そんな俺が恨めしげな目で見つめていたことに兄ちゃんは目聡く気付いたらしい。
にっこりと眼鏡の奥の切れ長の目を細めて・・・いやいやそんな滅相もございません!
笑顔が怖いよ!
しかもそれに続く言葉は絶対に「文句なんてないよな?」なのだ。
あるのか?ではなく、ないよな?ってところが凄く怖い!
「な、何も!」
三つ子の前では頼れるお兄ちゃんな俺も、この全てにおいて俺の上を行く兄に対しては頭が上がらない。
まあ、所詮は弟というものはこんなものだ・・・はぁ。
「なら、早く行くぞ。俺は生徒会の仕事で忙しいんだ」
ひょいと俺の真新しい制服の首根っこをひょいと掴んで俺を立たせた兄ちゃんは、そう言いながらもすたすたと玄関の方へ歩き始めている。
「あ、待って!」
その背中に声を掛けて、しかし三つ子たちの頭を1つ1つ撫でてやることは忘れない。
あー可愛い、可愛い!!!
少し照れくさそうな顔で笑う3人の顔を脳裏にしっかりと焼き付けた俺は、然程距離のない廊下を走って玄関へと向かっていく。
その後ろに小さな足音が3つ続いて、既に玄関のドアを開けて待っている兄ちゃんに取り繕うような笑みを1つ。
「笑ってないで早く靴履け」
・・・兄ちゃん冷たい。
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