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平凡と俺様
涙の別れ。弟達よ強くあれ!
「そーちゃんっ、もう行っちゃうの?」

「やだよ!僕もりゅう兄と一緒にいく!」

「ね?僕達も一緒に行っていーでしょー?」

 ああっ!もう、コイツら可愛過ぎだろ、こんちくしょー!

腰に三方向から抱きついて離れようとしない三鷹(みたか)、四鳳(しほう)、鷲吾(しゅうご)の3人は可愛い可愛い俺の弟達。

8つも歳の離れた三つ子達は普段から俺にべったりで、俺もべったべたに甘やかしていて・・・でも今回ばかりは心を鬼にしなければ!

 サラリーマンの親父にパートタイムの母親、1つ上で高校生の兄ちゃんに、俺、それから可愛い三つ子というごくごく一般的な家庭にしては多い子供の数に家計は火の車で。

少しでも親の負担を減らすため、兄ちゃんは去年特待生制度のある私立の進学校へと進学。

超難関と言われるそれをいとも簡単にクリアしてしまった兄ちゃんは、しかしそれにフンと鼻で笑ってみせただけで可愛くねーの。

全く、眼鏡が嫌味なほど似合う奴は性格まで嫌味になるもんかね。

 そんな元々頭の出来がよ過ぎた兄ちゃんがサラッと合格してしまったため、案外簡単なんじゃん?と楽観的な両親は1つ下の俺にも期待するような目を向けてくるわけで。

って俺がそんな勉強が趣味です!みたいな兄ちゃんみたく出来るわけがないだろ!

 全く何の取り柄もない俺はそこそこ勉強はできるとはいえ、兄ちゃんに比べれば頭の出来もたいしたことないし。

しかし両親の期待に満ちた目を見たらそうも言ってられず、寝る間も惜しんで必死で勉強して、弟達と遊ぶのも我慢して勉強して・・・!

まあそんな血の滲む努力の甲斐あって、毎年1人しか選ばれることのない特待生の座を無事勝ち得たわけだ!が・・・。

人生そんなに甘くはない。

 入学金、授業料、その他学校で掛かる諸々の費用は全部免除されるとあって両親は万々歳だっただろう。

実際「万歳〜!万歳〜!」なんて諸手を上げて喜んでいたのは記憶に新しい。

だがしか〜し!

その学校が男子校でしかも全寮制ってやってらんねぇよ!

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あきゅろす。
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