平凡と俺様
平凡とイケメン
俺がそんな風に闘志を燃やしている間に式は終わってしまったらしい。
先輩の引率によって教室へと案内され、張り出された席順を見ればなんと佐藤君と前後の席だ。
相変わらず佐藤君は顔面蒼白茫然自失だったので、俺がここまで手を引っ張ってきてやったんだけど、そろそろ戻ってきてもらわないとねー。
「佐藤君!佐藤君!もう悪魔はいないよ!お願いだから戻ってきて〜!」
窓側の前から2番目の席に佐藤君を座らせて、兄ちゃんの脳味噌シェイクの10分の1くらいの早さで肩を揺する。
でも、相変わらず佐藤君の目は虚を向いていて、こうなったら俺の黄金の右手をお見舞いしてやる〜っ!
しかしバチーン!という音は響かず、その手はまさに平手をお見舞いしてやろうと思っていた佐藤君の手に寄って止められた。
「さ、佐藤君が戻ってきた〜!」
思わずガシッと抱き締めれば、びっくりしたような佐藤君に引き剥がされて・・・あ!
「俺、鈴木双龍っていうの。さっきは俺の兄ちゃんがごめんな?え・・・と、これも何かの縁だし、クラスも一緒だし!席も前後だし!鈴木と佐藤だし!その、お友達からお願いします!」
俺ってば自己紹介してなかったじゃーん。もう、うっかりさん。
「へ?あ・・・さっきの・・・」
「よかった〜!兄ちゃんのことがショックで俺のことなんか忘れてるかと思ったよ」
だけどちゃっかりさんでもある俺は自分から佐藤君と握手をして、ぶんぶんとそれを振り回していると困ったような笑顔を向けられる。
え、いきなり馴れ馴れし過ぎたかな。
「あ・・・さっきの怖い先輩お兄さんなんだ?」
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