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平凡と俺様
B
 俺が踞って痛みに耐えている間、兄ちゃんはその例の不審者に近付いたらしい。

何やら話し声が聞こえる。

「えー、1-Sの佐藤太一(さとうたいち)君ですか。ああ・・・、確かにまだ出席していなかったのはあなたとあそこで転がってる愚弟だけでしたね」

「す、すみません」

「いえいえ、いいんですよ?3分24秒遅刻したくらい。まあ、カップラーメンの麺ならもう伸びてしまったかもしれませんが。幸いなことにあなたは人間ですからね、ぶよぶよになることはありません。それにいくらあなたが遅刻しようとも式には一切の進行の乱れはありませんから・・・」

しかし兄ちゃん、その嫌味100%初対面の相手にはキッつい・・・。

「しかしそこで転がってる愚弟の場合、その間抜け面に似合わず新入生代表なんていう大任なんですから、あんな俺様馬鹿坊々なんて放っておけばいいものの・・・」

って俺にも振るの!?

まだお説教は終わってなかったのね・・・グスン。

「・・・さて、これ以上遅刻なんてする不真面目なあなたたちにかける言葉はありませんね。全く、この私を待たせた挙げ句、貴重な時間をどれだけ無駄にしてくれたら済むんですか」

 それから延々と続くかに見えたそれは、時間切れという形で終わりを見せたらしい。

最後まで嫌味100%とは自分の兄ちゃんながら尊敬するよ。

ほら、だってこの佐藤君だっけ?あまりのショックに顔面蒼白じゃん。

背が高い上に、見た感じではきっと男前の顔をしているんだろうけど、兄ちゃんの嫌味のせいで台無しだ。

「時間的に次の次のプログラムが新入生代表の挨拶ですから、くれぐれも粗相のないように。・・・俺に恥じかかせるようなことしてみろ・・・分かってんだろうな?ん?」

 兄ちゃんの敬語っていうのもなかなか気持ち悪かったけど・・・ってお兄様!素!素に戻ってますから!!!

にっこり笑顔の暴君お兄様の脅しにこくこくと首を縦に振って、未だ固まったままの佐藤君の腕を取って俺は逃げるように講堂の入り口へと駆け出した。

「・・・チッ、双龍の奴逃げやがったな」

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あきゅろす。
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