平凡と俺様
A
「なんだ?お前、お兄様に対して口答えするとは百万年・・・
「だーかーらー!後ろ、そこになんか挙動不審な怪しい奴が!!!」
早・・・ってそんなお前の戯言に俺が騙されるわけないだろう、ん?」
――― ガツンッ
「痛・・・っぅううう!!!!!!」
って兄ちゃん!結局頭突きすんのかよ!!!!
自分も結構痛い筈なのに頭が良ければ頭蓋骨まで鍛えてあるのか、全く痛そうなそぶりは見せない・・・じゃなくって!
「え?あ・・・俺?」
「そう、そこの怪しいアンタだよ!」
アンタのせいで兄ちゃんの頭突き食らっちまったんだからな!
俺が声を掛けたことで例の不審者は足を止め、律儀にもタイミングを見計らって返答したらしい。
なんだ、怪しい奴のくせに空気は読めるんだな。
そこだけは褒めてやろう。って俺は何様だ・・・。帝臣様じゃねーぞ。
「おや、もしかしてあなたも入学式に遅刻してしまった生徒でしょうか?」
相手が声を発したことで兄ちゃんもその存在に気付いたらしい。
俺の胸倉から手を離し、くるりとそちらを振り返った兄ちゃんは見た目どおり口調まで優等生のそれになってしまった。
うわぁ・・・兄ちゃんってもしかしていつもはそんな感じだったりするんだ。
うぇえと見えてないことをいいことに顔を顰めれば、チラリと振り返った兄ちゃんににっこりと微笑まれてしまう。
あ・・・やば・・・!
「っうううううううう!!!!!!!!!」
・・・今度は足の甲かっ!
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