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平凡と俺様
A
「・・・というわけなんだけど」

 しかし正直にと言っても「飼い主とペット」発言やらはスルーするに決まってる。

だってそもそも俺は認めてないし、そんなこと喋ったら何言われるか分からないじゃん!?

というか兄ちゃんにもペット・・・いや兄ちゃんの場合「それだったら世話やら躾しねーといけないだろうが、面倒くせー」とか言って、ペットどころかどんな扱いをされるか分かったもんじゃないからこれは内緒だ。

だから妥当な感じで“ポイ捨てした帝臣に注意したらなんか気に入られてお友達になりました”と嘘というわけでもない内容を告げれば、しかし兄ちゃんの表情は変わらないままで・・・。

 も、もしかして“飼い主とペット”宣言されちゃった〜ってこと隠してるのバレた!?

いやいやまさかいくら兄ちゃんの頭の回転が物凄くいいからってそこまで気付くわけないよな。

それにバレたら口捻られられるだろうし。・・・俺の口は今んとこ無傷だ。

「ほお?お前、あのクソ我侭御曹司と友達になったのか・・・へぇ?」

「ヒィ・・・ッ!」

 しかしいくら口が無傷でも俺のノミのような心臓は、兄ちゃんのさらに深まった素敵過ぎる笑顔にブロークンハート寸前。

そんなまさか毛なんて生えたような心臓してないって。

兄ちゃんの心臓にはそりゃもうびっしりと剛毛が生えてるんだろうけどさ!

 そんな可愛い弟の心中なんてしらない兄ちゃんは、眼鏡を無意味に光らせながら益々笑みを深めていく。

だからその笑顔が怖いんだって言ってるじゃ〜ん!!!

まあ実際口に出して言ってるわけじゃないんだけどさ・・・というか口に出して言ったら何されるかわかったもんじゃないよ。

「お前、俺がどれだけアイツのことを嫌いか教えてやろうか?そうだな、時間もないことだ。特別大サービスで400字詰め原稿用紙100枚程度に収めてやろう」

「ひゃ・・・ひゃく・・・」

「俺は優しいからな。本来なら1000枚以上あるところをまとめてやろうっていうんだ、感謝しろ」

 しかし続けられた言葉に、俺は目が飛び出るんじゃないかってくらい目を見開いてしまった。

兄ちゃん!どれだけ帝臣のこと嫌いなんだよ!?

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