平凡と俺様
A
大きな手で手首を・・・ああ片手で一回りできるわけ?ああ・・・俺軽くショックなんだけど。
いやいや中大路の手が無駄にでかいだけだ!うんうん!
そう自分に言い聞かせた俺は、中大路の方を振り返るとぐぐっと睨みつけてやった。
「入学式まで暇だから散策の続きするだけだよ」
だからもうお前には用はないのーと、手をぶんぶん振って振りほどこうとするが・・・うう、力強いよ!
絶対俺が非力なわけじゃないんだからなぁ!と更に腕を振り回して。
・・・ただ疲れただけだった。なんだかなー。
「へぇ、新入生か。通りで知らねぇ顔だと思ったぜ」
相変わらず俺の手首を掴んだままの中大路は納得したように頷くと、にやっと人の悪い笑みを向けてくる。
それに思わず背筋が寒くなったが、目は離さない。
ってか離したら何されるかわかんねぇよ!
「お前は中々に見込みがある。俺の名前を聞いても媚びたりせずに、しかも説教まで垂れやがった。顔はまあ普通だがその目は気に入ったぜ。俺の傍にいることを許してやろう」
その顔のままお前は何者だ!?という上から目線の態度でそう告げた中大路に俺もカチンとくるものがある。
「だか・・・っ」
「で、お前名前は?」
ああ、もうだから人の話は最後まで聞く〜!
「・・・す、鈴木双龍」
って律儀に返す俺はとってもいい子だ。うん。
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