私立月見里学園高等部
B
それに比べて通された管理人室は、庶民的でなんとなくほっとする。
そして、その中で紹介されたのは管理人の小野寺さんで、どことなく雰囲気が月見里の祖父さんに似ていて好感が持てた。
「おお、お前さんが春坊のもう1人の息子か!」
軽く自己紹介をし、頭を下げれば、立ち上がった小野寺さんにバシバシと肩を叩かれてしまう。
それはもう遠慮なく文字通りバシバシと。
「お、小野寺さん!!!!!」
しかし悲痛な声を上げたのは俺の後ろに控えていた磯村さんで、小野寺さんはそれに笑いながら最後にもう一発、今度は背中を叩かれてしまった。
地味に痛い・・・。
「いやいや、悪かったな。ついつい昔春坊が通っていたときのことを思い出してな」
と言う小野寺さんは、20年以上も前からこの月見里学園高等部の寮の管理人をしていて、春坊こと父さんの学生時代も知る古株らしい。
「で、確か入寮の説明だったな。まあイチ坊は幼稚舎の頃からこの学園にいるんだから詳しいことはその兄さん?いや、弟か?」
「一応兄であってます」
「くっく。じゃあ、そのイチ坊に教えてもらうことにしてだな」
「は、はあ・・・」
そのイチ坊がきちんと教えてくれなかったせいで、こうやって迷ったんだが。
まあ、なんとかなるだろう。
と豪快でちょっと適当な小野寺さんの説明?にとりあえず頷いた俺は、次に手渡されたカードのようなものに首を傾げる。
「ああ。それは部屋の鍵だ。図書館や学校内の施設に入るときにも必要だぞ。あと、クレジット機能もついた優れもんでな。売店で買い物する時や食堂で食事する時にも使うから失くさんようにな、ニイ坊」
ってやっぱりか!
何だか流れ的にそう呼ばれるんじゃないかと思っていたのだが、案の定・・・ニイ坊って。
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