私立月見里学園高等部
A
「全く君は俺を誑かす天才のようだね。そうやって俺の愛を確かめてるのかい?そんなことしなくても俺はこんなにも君を愛しているというのに・・・っ!」
芝居染みたその台詞にあんぐりとしてしまう。
っていや、そうじゃなくて!
・・・また先輩のペースに持っていかれてしまった。
「いや、あの。身に覚えがないんです・・・が?」
どこか興奮したような先輩に、控えめにだがはっきりとそう告げる。
俺は目の前の先輩に愛を告げられた覚えはないし、更には受け入れた覚えもない。
それにさっき出会ったばかりの俺にどうして愛を告げるんだ?
その前にそもそも俺は男だ。先輩はその、ホモなんだろうか?
恋愛は個人の自由だとは思うけれど。
「ノォオオオオ〜!!!!」
「っ!?」
先輩は突然固まったかと思うと、今度はそんな風に叫びだして、忙しい。
「な、何だって!?少し耳の調子が悪いようだ・・・。そんな俺の告白が身に覚えがないだなんてっ」
「はい」
「って、即答!?」
ガーンとどこかやつれた様な先輩に、そろそろ部屋に連れて行って貰えないだろうかと考えるが、この状況では言い出しにくい。
疲れてはいたが、特に急いではいなかったので先輩の出方を見ていると、ガックリしていた肩が突然上がり、更には天を仰ぐように顔が上がり、仕舞いには高笑いまで始めてしまった。
「はっはっはっはっは!!!やはり俺が見初めただけあるよ、ハニー!この俺の名前を聞いても驚かず、更にはこの完璧すぎる美貌に靡かないどころか、この俺の愛の告白をなかったことにするだなんて!」
た、立ち直りが早いな・・・。
さっきまで沈んでいたというのに、ものの30秒もしない間に元気になったどころか自慢まで始めたぞ。
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