[携帯モード] [URL送信]

私立月見里学園高等部
A
「全く君は俺を誑かす天才のようだね。そうやって俺の愛を確かめてるのかい?そんなことしなくても俺はこんなにも君を愛しているというのに・・・っ!」

 芝居染みたその台詞にあんぐりとしてしまう。

っていや、そうじゃなくて!

・・・また先輩のペースに持っていかれてしまった。

「いや、あの。身に覚えがないんです・・・が?」

どこか興奮したような先輩に、控えめにだがはっきりとそう告げる。

俺は目の前の先輩に愛を告げられた覚えはないし、更には受け入れた覚えもない。

それにさっき出会ったばかりの俺にどうして愛を告げるんだ?

その前にそもそも俺は男だ。先輩はその、ホモなんだろうか?

恋愛は個人の自由だとは思うけれど。

「ノォオオオオ〜!!!!」

「っ!?」

 先輩は突然固まったかと思うと、今度はそんな風に叫びだして、忙しい。

「な、何だって!?少し耳の調子が悪いようだ・・・。そんな俺の告白が身に覚えがないだなんてっ」

「はい」

「って、即答!?」

 ガーンとどこかやつれた様な先輩に、そろそろ部屋に連れて行って貰えないだろうかと考えるが、この状況では言い出しにくい。

疲れてはいたが、特に急いではいなかったので先輩の出方を見ていると、ガックリしていた肩が突然上がり、更には天を仰ぐように顔が上がり、仕舞いには高笑いまで始めてしまった。

「はっはっはっはっは!!!やはり俺が見初めただけあるよ、ハニー!この俺の名前を聞いても驚かず、更にはこの完璧すぎる美貌に靡かないどころか、この俺の愛の告白をなかったことにするだなんて!」

 た、立ち直りが早いな・・・。

さっきまで沈んでいたというのに、ものの30秒もしない間に元気になったどころか自慢まで始めたぞ。

[*前へ][次へ#]
[戻る]


あきゅろす。
無料HPエムペ!