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私立月見里学園高等部
A
 名前を呼ばれただけでああだったのに、いざ父さんが壇上に上がれば、歓声はさらに大きなものへと変わっていく。

「理事長様素敵〜!」

「きゃー!!!」

「理事長様ー!」

「いやーっ!もう、カッコよすぎるー!」

どこかのアイドルのコンサートか!?という周りの熱気に、息子である俺たちはゲンナリとするより他ない。

しかも、そんな異常な人気の父さんは、俺達の姿を壇上からでもすぐに見つけたらしく、ふっと思わずといったような感じで笑うもんだから、大変だ。

 それをうっかりまともに見てしまった生徒達は、次々にばったばったと倒れ始め、講堂内は騒然となる。

うわ…笑顔1つで人が倒れるって何者だよ。

なあ?というように伊近に同意を求めれば、は?と馬鹿にしたような顔を向けられたあと、仕方ないなあというように目を細められ…あ、それを見たらしい誰かが倒れた音も聞こえたぞ。

父さんだけでなく、伊近もそうだってことを自慢したかったのか?

 小さな子が張り合うみたいで可愛いなあ、と頬を緩めれば、伊近はまた急に顔を真っ赤にして、さらに近くで何人かが倒れる音が聞こえ、首を傾げた。

しかも見れば、智希が床で蹲っているし。

時間差で伊近の笑顔攻撃が効いたのか?それとも父さんだろうか。

 と考えていると、伊近には微妙な顔をされ、壇上の父さんには咎めるようなまなざしを向けられ、続けて咳払いをされてしまう。

あ、まずい…今から理事長の祝辞だったよな。

きちんと聞かないと、父さんあとで拗ねるだろうし…。

しかし、あんな父さんにきちんと挨拶ができるのかがまず不安なんだが…。


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