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私立月見里学園高等部
月見里のプリンス
 騒ぎの原因・・・受付の係らしい先輩は何と言うか、・・・”王子様”だった。

今流行の〜王子にも通ずるものがあるかもしれないが、それよりも絵本の中から飛び出した王子様と言った方が正解だろう。

絵本王子?いや、キラキラ王子?

まあ、とにかく背中に星でも散りばめたのかというくらいオーラが輝いているような王子様具合と言えば分かってもらえるだろうか。

 太陽に輝く髪はキレイな茶色で、黒崎や伊近の様に染めているでもなく、しかし智希よりも明るい茶色。

浮かべた笑みは相手が蕩けそうなほど(実際何人もの生徒がふにゃふにゃになっていたのだ)甘い。

こんなにも綺麗な男の人は初めて見たと思わず感心してしまった。

 気付けば俺の2つ前に並んでいた黒崎の順番になっており、俺は慌てて順番を詰める。

すると、その彼は黒崎が目の前に立った途端「おや?」と、しかし笑顔は崩さないままに首を傾げて見せたのだ。

その仕草さえも絵に描いたように様になる。

後ろの方で雄叫びと悲鳴が上がったのも、何だかもう納得してしまった。

「黒崎くんが式典に出るなんて珍しいこともあるものだね」

 しかも綺麗な人は声まで綺麗らしい。

朗読をされたら思わず寝てしまいそうなほど心地の良い声に、思わず聞き入ってしまいそうだ。

「別にアンタにゃ関係ないだろ」

「そうだね。でも、月見里くんと一緒だなんて今日は雨が降るんじゃないかな?」

 実際きっちり聞いてしまった俺は、やっぱり黒崎と伊近の仲の悪さは周知のものだったのかと、呆れてしまう。

「那月先輩、滅多なことを言わないで下さいよ。誰が好き好んでこんなクソ崎と一緒になんか・・・。これも新名のため・・・ぁっ!」

それにすかさず伊近が否定するような言葉を返して、でもそこで俺の名前が出たときにはっとしたように口を噤んでしまった。

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