私立月見里学園高等部
A
3人があれほど気合を入れたというのに、講堂に行くまでの間何も起こらなかったし、・・・正直同じように緊張していた俺にしてみれば拍子抜けだった。
いや、確かに寮から講堂までの道は思ったより険しく、道というより獣道といった感じだったが、特に気合を入れるほどでもないだろう。
頭についた葉っぱやらを取りながら3人を見れば、しかしまだ気を張っているようだ。
んー・・・これは入学式自体に何かあるのだろうか。
そんなたかが入学式に何もないと思うがな。
それに俺は式より、この目の前に聳え立つ講堂のデカさの方が気になるぞ。
普通の公立の学校なら体育館で式典をするものだが、この講堂は本当にどこかの博物館のような外観だ。
あの凸凹がいっぱいある太い柱なんか、パルテノン神殿みたいじゃないか。
やっぱり金持ち校は違うな、と自分の実家が運営しているというのに人事のように感心した俺は、伊近に手を引かれるままその周りを回っていく。
ん?中に入らないのか?
という俺の心配を他所に、半周(といっても大分ある)したところが入り口だったらしく、そこにはたくさんの生徒が中へ入ろうと集まっていた。
人の多さに感心していると、一人がこちらを指差し、それが徐々に広がってそこにいた人物全員の視線が向けられる。
「!?」
な、何だ!?まだ頭に葉っぱでも付いてたのか!?
それとも顔に泥が付いてるとか!?
驚く俺を他所に、更に表情を引き締めた3人はまるで示し合わせたかのように俺の周りを取り囲み、自分より背の高い3人に囲まれた俺は周りの様子が窺うことが出来ない。
いや、だから何なんだ!?
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