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私立月見里学園高等部
A
「や、だってさっきキスしてただじゃん!目の前でそりゃもう、ガッツリと!」

 いや、そこまではやってないって・・・なんで伊近が照れてんだよ。

「・・・兄弟なんだから当たり前だろ?」

溜息混じりにそう言えば、智希は信じられないような目で俺の顔を後ろから覗き込んでくる。

「は?」

って何だよ、その馬鹿にしたような顔は。

「智希、兄弟いないからしらねぇんだよ」

「いや、俺妹いるけど」

「妹じゃダメだろ」

「それどんな理屈だよ・・・」

俺も最近まで兄弟間のことなんて知らなかったが、智希も意外と世間知らずだな。

呆れたようにもう一度溜息を吐いて見せれば、智希は今度は伊近のほうへと目を遣る。

「いーちーかーぁ?」

「お前が知らねぇだけだろ。なあ、新名」

ほら、智希が世間知らずなだけだろ。

そうだそうだと頷いて見せれば、智希は脱力したように俺に凭れ掛かってきて、重い・・・。

 誤解もこれで解けただろうし、そろそろ部屋の片付けをしたいな、なんて思っていると、今度は黒崎から声が上がる。

「お前ら、兄弟なわけ?」

って今更だな・・・おい。

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