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私立月見里学園高等部
誤解
 一向に終わりそうにないその睨み合いに終止符を打ったのは、意外にも今まで存在を忘れがちだった智希だった。

「お前ら、兄弟なのにデキてんの?」

ポツリと漏らした言葉に一瞬空気が固まる。

しかし真っ先に回復した伊近はその智希の台詞に満足そうに頷いて、さらに話をややこしくしてしまった。

「マジで!?俺新名だったら全然男でも大丈夫だと思ってたのに〜!」

「誰がお前に大事な新名をやるか」

「あの伊近がこの発言!?信じられねぇ!!」

「…うるせぇよ」

 って俺はまだ何も言ってないぞ!?

しかし伊近が”俺の”呼ばわりしていたのはそういう意味だったのか…。

ようやく理解した俺は、実は伊近がホモかもしれないという事実より、まずその勝手な誤解を解くことが先決だった。

「何勝手なこと言ってんだよ…」

「あれ?新名、兄弟の禁忌を犯してでも伊近のことが好きなのっ!ってやつじゃないの?」

 俺が言葉を発したことで、智希は俺のそばに寄ってくると、また背中にへばりつかれる。

コイツ、実は子泣きじじいかもしれない。

そのことで伊近に睨み付けられていたが、特に気にした様子もなく、俺に懐いているし。

…なんだかなあ。

って、また話が逸れたじゃないか…!

「だから、なんで俺と伊近が付き合ってるとかそういう…」

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