私立月見里学園高等部
B
でも、伊近を謝らせないことにはこれからの寮生活に支障が出てくるような気がする。
なんせ俺は黒崎と同室だし、伊近とは双子だし。
まあ、別に伊近だからいいかと、軽く唇を合わせてやると、途端機嫌が浮上した伊近はその調子のまま黒崎に頭を下げている。
感情が籠ってなさすぎだ…。
まあ、でもこれで落ち着いただろうと、黒崎と智希の方を向けば、あれ?様子がおかしい。
智希はきょとんとしたような顔をしているし、黒崎はなぜかぶるぶる震えている。
「くろさ…
「月見里〜っ!」
っ!?」
名前を呼ぼうとした俺の声を遮るように、逆に黒崎に大声で呼ばれて、”月見里”な俺達双子は息もぴったりにそちらの方へと首を向ける。
腫れた赤い頬が拍車をかけて、凄まれると物凄い迫力だ。
こういうお兄さん方に絡まれ慣れてる(慣れたくないが)俺でも肝を冷やしたほど、それはもう般若のようだった。
「てめぇ、俺様の顔にこんなことしやがった上に、新名にまで手ぇ出すとはどういう了見だ、アァ!?」
しかし用があったのは伊近の方で、胸倉を掴んで凄む様子は、さっきの二人の口論とは天と地ほどの差があった。
内容は対して変わらないとしてもだ。
なんで、さっきより空気険悪になってんだ!?
「先に手ぇ出しやがったのはてめぇだろうが!!」
「先に目ぇ付けたのは俺だってのに、その俺の目の前でキスまでしやがって、何考えてんだてめぇ!」
「はあ!?俺と新名は生まれる前から魂と魂が結びあってんだよ!後から出て俺の新名に手出してんじゃねぇ!」
「アァ!?何勝手なことほざいてんだ!」
「あ?」
「アァ!?」
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