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私立月見里学園高等部
一男去ってまた一難
 キーキー喚く少年を黒崎は、あんまりじゃないか?という台詞で追い返して、どうにか場は収まったらしい。

しかし、最後まで俺はあの少年に睨み付けられていたし、「覚えてなよ!」と捨て台詞まで吐かれてしまった。

まあ、あの少年が実は拳法の達人とかではない限り、腕っ節で負けることはないだろうが・・・。

 なんとなくこの短時間でどっと疲れた俺は、黒崎に腰を抱かれ、智希に背中から張り付かれたままリビングへと引き返す。

そこにはソファに偉そうに座る伊近がいて、なんとなく、なんとなくだがムカついた。

「全く、テメェのオンナの管理はテメェでしろよな」

「うるせー」

 そんな態度のデカイ伊近とは裏腹に、そう返す黒崎は何だか先ほどまでの覇気が感じられない。

俺が立ち上がった伊近に隣に座るように手を引かれても、黒崎は立ったままで何かを考えているようだった。

 そういえば、何の話だっただろうか?

あの珍客のせいですっかり自分が怒っていたことも忘れてしまって、伊近に顔を向ければ、笑顔を返される。

それに何だか誤魔化されたような気がしないでもないが、まあいいか。

「・・・悪ぃ、新名。俺の勘違いだった」

「は?」

 しかし、黒崎はそうでもないらしい。

突然謝られた俺は、伊近に視線を送るが、分からないというように首を左右に振られる。

「お前のこと、今日の相手だと思って襲って悪かった。許してくれ」

というのは、出会い頭にベッドの上でマウントポジションを取られて、耳を散々舐められたことだろうか。

それは俺が腹に蹴りを入れたことでアイコだと思っていたのだが、意外と律儀な性格らしい。

 別に気にしなくて良いと俺が口を開くより前に、隣の伊近が立ち上がって、その項垂れたままの黒崎の顔面に右ストレートを打ち込む。

っておいおい!お前みたいな喧嘩が強い奴が本気で殴るなよ!

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