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私立月見里学園高等部
間の悪い来訪者
 声を張り上げてすっきりした俺は、再び口を噤むと、ぽかんとしたままの伊近と黒崎に視線を向ける。

早く俺の分かるように説明しろ、と。

「あーあの・・・」

と場を取り繕うように智希が声を上げたところで、あの妙に緊張感のないチャイムが部屋の中に響き渡った。

全く、間の悪い。

 部屋主は俺と黒崎の2人で、奴は相変わらずだったのでとりあえず俺が玄関へと向かえば、智希がその後を付いてくる。

ほんと、伊近じゃないけど本当に犬っぽいかもしれない。

ラブラドールレトリバーって感じだ。

 そんな智希を引き連れて、再び来客を確認せずにドアを開けた俺は、そのことを後悔した。

「っ!!!!」

突然腰の辺りにタックルをかまされて、息が詰まる。

まだ、せめてもの救いだったのが相手のウエイトが軽かったことで、しかし何の身構えもしていなかった俺は智希のデカイ体に支えられて、どうにか後ろに倒れずに済んだといったところだ。

が、それにしてもいきなりドアを開けた人間にタックルをかましてくる奴って、まさかラグビー部とか?

いや、もしくはアメフト部?

 そこまで考えて、自分の腰当たりに抱きついているのが俺より10cm〜15cm以上は背が低いだろう華奢な少年だということに気付き、その線は頭の中で消去する。

でも、出会い頭にタックルかましてくるとか、さっきの黒崎以上に驚きだぞ。

「永久(トワ)様・・・っ!」

 しかし、そんなことは少年にとっては取るに足らないことらしい。

驚く俺を無視して、その誰か知らない名前を呼ぶ少年の声は異様に高く、耳に付く。

しかも、続いてあげた顔があまりにも女の子みたいだったので、俺は不満を言う声を思わず引っ込めてしまっていた。

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あきゅろす。
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