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私立月見里学園高等部
B
 そんな俺の様子に気付いた伊近はようやく離れると、後ろに立つ長身の彼に顎をしゃくった。

自己紹介しろってことなんだろうが、友達にその態度はないだろ。

その意味を込めて額を突いてやると、途端伊近はしゅんとした顔をして、後ろの彼には驚いたような顔をされた。

「伊近のこんな顔、俺でさえ見たことなかったのに。伊近様ファンクラブの奴ら、きゃー!って卒倒するんじゃないか?いやあ、恐るべし双子パワー…。でもお前らは特別って感じだけど」

 それからすぐにそれは笑顔に変わって、話してる最中もころころ変わる表情は見ていて飽きない。

しかし”伊近様ファンクラブ”ってのはなんだ?

それに結局誰か分からないままだ。

「ばっ!お前そのことは新名に言わなくていいんだよ!」

「えー弟くんにはお兄ちゃんの武勇伝話しておいたほうがいいかなーって、痛っ!あ!そうそう俺の名前堀田智希(ホッタ トモキ)っていうんだけど。伊近のルームメイトで、幼稚舎からの腐れ縁てやつ?向かいの部屋で同じクラスだし、よろしくな!智希でいいから」

 表情と同じようによく口も動くらしく、物凄い勢いの自己紹介に押される形で頷けば、比較的大人しくしていた伊近に腕を取られた。

「アイツのことは別に”おい”とかいやむしろ手を叩いて呼ぶだけでいいからな」

「犬じゃねえ!」

そして真面目な顔で伊近がそう続けて、それにすかさず智希が突っ込むのがおかしい。

それに、思わずといった感じで笑いを漏らせば、なぜだか空気が固まった。

 ん?さっきも似たようなことになっていたが…ってやっぱりそんな固まってしまうほど変な笑い方なんだろうか?

でもこの学園にきてから思わず笑ってしまうような面白いことが次々に起きるのだから、少しは許して欲しい。

 二人は何故か揃って顔を赤くしていて、ますます首を傾げてしまう。

先に意識が戻った伊近が俺に飛び付こうとした瞬間、しかしその前に後ろから腰に回された腕に抱き寄せられてしまった。

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あきゅろす。
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