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私立月見里学園高等部
A
 他人の部屋だというのに(半分は俺のだとしとも)なんとも伊近は遠慮がない。

挨拶もなくずかすかと中へ入ってきたかと思えば、抱きすくめられ、しかしなんだかほっとした。

「心配した。もう着いてもおかしくない時間なのにメールしても返事ないし、電話も留守電になるし」

 そういえば、相澤先輩とアドレス交換をしたときにメールがきていたような気がしていたのだが、持ってから日が浅い俺はいまいち操作が分かってなかった。

なんせ交換も先輩にしてもらったしな。

悪いことをしたと、低いトーンで告げられた言葉に、謝罪の意味を込めて背中を撫でれば、ぐりぐりと頭を押しつけられてしまった。

…なんかちょっと可愛いかも。

「君が伊近の生き別れの双子の弟くん?」

 伊近で和んでいると、不意にその後ろから初めて聞く声が掛けられる。

それに慌てて顔を上げれば、伊近の肩越し、至近距離に爽やかな笑顔があって、驚きに目を見開いてしまった。

近っ…。

相澤先輩といい、この学校の人は近眼の人が多いのか?

そんなに近付かなくても、顔くらい見えるだろうに。

「へー伊近がケチって写真見せてくれなかったから想像では伊近がもう一人って感じだったんだけど…知らなかったら双子って分かんないかもなあ」

 顔をマジマジと観察されたあと、ようやく離れていってくれた彼だが、一体誰なんだ?

「智希、あんま見るんじゃねえよ!新名が減る」

伊近の様子から、知り合いだってことは分かるんだが…。


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あきゅろす。
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