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私立月見里学園高等部
お兄ちゃん
 その何だか分からない感覚から逃れようと、俺が必死で蹴り上げた膝がクリティカルヒットしたらしい。

腹を押さえて蹲った黒崎を自分の上から除けると、散々噛まれた耳を服の袖で擦る。

 全く、なんだって言うんだ!?

今日厄日かなんかに違いない。

いきなり先輩からは告白されてキスされそうになるし、同室者には耳を散々舐め回されるし。

人の趣味はそれぞれだとは思うが、一般人にそれを強制するのはどうかと思うぞ?

それともこの学校ではこれが当たり前だというのだろうか。

この先の学園生活にとてつもなく不安を感じるのは何故だろう…。

 早くも帰りたくなってきた俺に、今度は来客を告げるチャイムが聞こえる。

居留守使ったらダメだろうか…。

しかし何度も連打されるそれに、黒崎はまだ復活してないので仕方なく代わりに玄関へ向かうと、チャイムと共にドアも連打されている音が聞こえた。

よっぽど急用なのだろうか?

だとしたら今黒崎は出れないんだが…。

 とりあえず急ぎの用のようだし、とドアを開ければ、飛び込んで来たのはなんと今朝離れたばかりの自分の双子の兄だった。

「新名っ!」

「伊近!?」


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