私立月見里学園高等部
同室者
先輩とまた会う約束をし、携帯番号とアドレスを交換して別れた俺はエレベーターを降りてすぐ横にある201の部屋の前で首を傾げていた。
部屋のドアの横には同室者の「黒崎永久」・・・くろさきながひさ?くんと俺の名前のプレートが並べられているから俺の部屋には間違いないのだが・・・。
どうやって入ればいいんだ?
管理人の小野寺さんは、この銀色の薄っぺらいカードが鍵だといっていたが・・・。
ドアノブの上にそれらしい機械はあるのだが、カードを差し込む穴も、スライドさせる溝も見当たらない。
ホテルにあるようなカードキーと同じだと思ったのだが、何か不思議な仕掛けでもあるのか?
こんなことなら相澤先輩に教えてもらえばよかったと考えるが、後の祭りだ。
でも、まあ部屋には同室者の黒崎がいるかもしれない。
部屋にいれば開けてもらえるだろうと、プレート下にあるインターフォンに手を伸ばした。
ピンポーン
意外にも普通のチャイムの音に、さっきまで豪華な物を目にし過ぎたせいか何だかほっとしてしまう。
しばらくすると中から足音が聞こえて、やっと部屋に入れることにもう一度息を吐いた。
ああ、これでやっと休める・・・。
相手も確認せずに開かれた扉の隙間から顔を出したのは、”不良”と言った感じの男前だった。
いや、本当に不良かどうかは知らないが、染めたらしい金髪に、耳にはたくさんのピアスが付けられている。
眉毛も細く整えられていて、人のことは言えないが、眼光が鋭い。
何より俺が街で絡まれたような不良さんは、こんな恰好の人が多かったのだ。
「ん?今日誘ってきたのってアンタ?…どちらかといえばタチって感じだけど、別に俺は気にしないぜ?結構エロそうな体してんじゃん」
しかし売られたのは喧嘩ではなく、別件のヨウデス。
誘った?タチ?
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